2024-09-01から1ヶ月間の記事一覧
【源氏物語570 第19帖 薄雲 1】源氏の冷淡に思われることも地理的に斟酌をしなければならないと自分を納得させていた明石の上。男の心を顕わに見なければならないことは苦痛であろうと彼女は躊躇していた。 〜冬になって来て川沿いの家にいる人は 心細い思…
【源氏物語560 第18帖 松風24 】桂の院や山荘に高官達がお迎えに来た。乳母が姫君を抱いて出てくると源氏は可愛い様子で撫でながら 離れ難く思う。 〜三日目は京へ帰ることになっていたので、 源氏は朝もおそく起きて、 ここから直接帰って行くつもりでいた…
【源氏物語564 第18帖 松風28】月がはなやかに上ってきた頃から音楽の合奏が始まった。琵琶、和琴などだけで笛の上手が皆選ばれて伴奏をした曲は秋にしっくりあって面白い。 〜大井の野に残った殿上役人が、 しるしだけの小鳥を萩《はぎ》の枝などへつけて …
【源氏物語577 第18帖 松風1】東の院が落成したので 花散里をはじめ夫人達を源氏は移らせた。中央の寝殿は源氏が休憩したり客を招いたりした。 〜東の院が美々しく落成したので、 花散里《はなちるさと》といわれていた夫人を源氏は移らせた。 西の対から渡…
【源氏物語595 第18帖 松風19】桂の院から明石の上の邸に来た源氏は、庭の手入れをさせる。打ち解けた様子の源氏はいっそう美しい。尼君は老いも憂いも忘れ微笑んでいた。 〜なお修繕を加える必要のある所を、 源氏はもとの預かり人や新たに任命した家職の者…
【源氏物語589 第18帖 松風13】明石の浦の朝霧に 船の隔たっていくのを見る入道の心は ただ呆然としていた。一行は、無事に京に入り 目立たぬように大堰の山荘に移った。 〜車の数の多くなることも人目を引くことであるし、 二度に分けて立たせることも 面倒…
【源氏物語572 第17帖 絵合 25】桐壺院の学問にする考えや 源氏自身の絵に対する思いを 帥の宮に語る。 〜明け方近くなって古い回想から湿った心持ちになった源氏は 杯を取りながら帥《そつ》の宮に語った。 「私は子供の時代から学問を熱心にしていましたが…
【源氏物語566 第17帖 絵合19】朱雀院も素晴らしい絵を梅壺にご寄贈遊ばされた。画伯に製作させた大極殿の御櫛の式の立派な絵もあった 〜院もこの勝負のことをお聞きになって、 梅壺へ多くの絵を御寄贈あそばされた。 宮中で一年じゅうにある儀式の中のおも…
【源氏物語562 第17帖 絵合15】女院は興味深く思召して、日本最初の小説である竹取の翁と空穂の俊蔭の巻を左右にして論評をお聞きになった。 〜思い思いのことを主張する弁論を 女院は興味深く思召《おぼしめ》して、 まず日本最初の小説である竹取の翁《お…
【源氏物語583 第18帖 松風 7】明石の君が源氏に迎えられることは願っていたことではあるが、娘達と別れて暮らす寂しさに入道は朝も昼も物思いに呆としていた。 〜免れがたい因縁に引かれて いよいよそこを去る時になったのであると思うと、 女の心は馴染《…
【源氏物語557 第17帖 絵合10】弘徽殿ではよい小説の内容を絵にさせて帝にお目にかけた。長くは 御前に出しておかずに すぐしまわせてしまうのである。 〜「小説を題にして描いた絵が最もおもしろい」 と言って、 権中納言は選んだよい小説の内容を絵にさせ…
【源氏物語553 第17帖 絵合 6】華やかな女御としての前斎宮。御息所が生きておられたなら どれほど喜ぶであろう。あれほどの人を失ったことは この世の損失とさえ思った。 〜養父として一切を源氏が世話していることにしては 院へ済まないという遠慮から、 …
【源氏物語548 第17帖 絵合 1】女院は前斎宮の入内を熱心に促しておいでになった。朱雀院は残念がっておいでになったが 当日に立派な贈り物が届いた 〜前斎宮《ぜんさいぐう》の入内《じゅだい》を 女院は熱心に促しておいでになった。 こまごまとした入用の…
【源氏物語544 第16帖 関屋5】右衛門佐(小君)を呼び出し、姉の空蝉に手紙をことづてたいと言った。恋を思い捨てない源氏に右衛門佐は驚いていた。 〜佐《すけ》を呼び出して、 源氏は姉君へ手紙をことづてたいと言った。 他の人ならもう忘れていそうな恋を…
【源氏物語540 第16帖 関屋1】石山寺に参詣に来た源氏の君、空蝉の君は逢坂の関ですれ違う 〜以前の伊予介《いよのすけ》は 院がお崩《かく》れになった翌年 常陸介《ひたちのすけ》になって任地へ下ったので、 昔の帚木《ははきぎ》もつれて行った。 源氏…
【源氏物語533 第15帖 蓬生33】源氏の君の来訪に、末摘花の姫君は嬉しかったが立派な姿の源氏に自分を見られるのを恥ずかしく思った。 〜女王《にょおう》は望みをかけて来たことの 事実になったことはうれしかったが、 りっぱな姿の源氏に見られる自分を恥…
【源氏物語528 第15帖 蓬生28】惟光は荒れた屋敷に入ったが人の気配はない。帰ろうと思ったら月が差し、老女の咳が聞こえた。 〜惟光は邸の中へはいってあちらこちらと歩いて見て、 人のいる物音の聞こえる所があるかと捜したのであるが、 そんな物はない。 …
【源氏物語523 第15帖 蓬生23】末摘花の姫君と侍従は二人で歌を交わした。姫君は非常に泣き、侍従は命ある限り誠意を誓った。 〜「絶ゆまじき すぢを頼みし 玉かづら思ひの ほかにかけ離れぬる 死んだ乳母《まま》が遺言したこともあるからね、 つまらない私…
【源氏物語517 第15帖 蓬生17】冬になり末摘花は悲しく物思いの日々である。兄の禅師は源氏の八講に招かれたが、自分を尋ねることもなかったことに 望みがないと思うようになった。 〜冬にはいればはいるほど頼りなさはひどくなって、 悲しく物思いばかりし…
【源氏物語512 第15帖 蓬生12】叔母は貴族の出ながら下の階級に入ったため、蔑まれた腹いせに末摘花の姫君を娘達の女房としたいと思っていた。 〜初めから地方官級の家に生まれた人は、 貴族をまねて、 思想的にも思い上がった人になっている者も多いのに、 …
【源氏物語506 第15帖 蓬生6】昔の立派なものである手道具を譲って欲しいというものもいるが、末摘花の姫君は頑強に拒む。とはいえ誰の支えもない姫君であった。 〜手道具なども昔の品の使い慣らしたりっぱな物のあるのを、 生《なま》物識りの骨董《こっと…
【源氏物語501 第15帖 蓬生1】真実悲しい境遇に落ちた人というのは、源氏が京を出発した際のことも 無視して行かれた恋人たちがそれであった。 〜源氏が須磨《すま》、明石《あかし》に 漂泊《さすら》っていたころは、 京のほうにも悲しく思い暮らす人の多…
【源氏物語497 第14帖 澪標 71】源氏は、斎宮の宮を冷泉帝の女御にと考える。それについて藤壺の入道の宮に口添えをお願いする。 〜「お母様の御息所はきわめて聡明な人だったのですが、 私の若気のあやまちから浮き名を流させることになりました上、 私は一…
【源氏物語484 第14帖 澪標58】娘の斎宮のことを頼むと言い残し、六条御息所は亡くなった。源氏は無常の人生が悲しまれて参内もせず引きこもっていて、御息所の葬儀の指図などをしていた。 〜「大事な御遺言を私にしてくださいましたことをうれしく存じます…
【源氏物語490 第14帖 澪標64】宮は非常に内気で 羞恥心がお強くて 異性に声を聞かせることは 思いもよらぬようにお考えであった。 〜「失礼ですが、お母様の代わりと思ってくだすって、 御遠慮のないおつきあいをくだすったら、 私の真心がわかっていただけ…
【源氏物語476 第14帖 澪標50】にわかに重い病気になって心細くなった御息所は、伊勢という神の境にあって仏教に遠ざかっていた幾年かのことが恐ろしく思われて尼になった。 〜斎宮がどんなにりっぱな貴女になっておいでになるであろうと、 それを目に見たく…
【源氏物語468 第14帖 澪標42】こんな時に御幣(みてぐら)を差し上げても神は目にとどめにならぬだろう。祓いのために浪速に船をまわして明石の君の船は去った。 〜こんな時に自分などが貧弱な御幣《みてぐら》を差し上げても 神様も目にとどめにならぬだろ…
【源氏物語463 第14帖 澪標37】葵上の父 の太政大臣と源氏の君の勢力はまし、葵上の兄の権中納言の娘が入内した。兵部卿の宮の姫君も入内したが源氏は素っ気ない 〜現代には二つの大きな勢力があって、 一つは太政大臣、 一つは源氏の内大臣がそれで、 この…
【源氏物語456 第14帖 澪標30】何に動揺することもなく長く留守の間を静かに待っていてくれた花散里を、源氏は信頼している。 水鶏《くいな》が近くで鳴くのを聞いて、 水鶏だに 驚かさずば いかにして 荒れたる宿に 月を入れまし なつかしい調子で言うとも…
【源氏物語450 第14帖 澪標24】源氏は、明石に誠実な手紙を送る。入道は感激して泣いていた。乳母の君も 優しい気質の明石の君によき友人のように感じる。 〜海松や 時ぞともなき かげにゐて 何のあやめも いかにわくらん からだから魂が抜けてしまうほど恋…