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いにしえの都の高貴なネコ様のつぶやき🌸

我は、いにしえの都の高貴なネコ様🐱マロン🍀 下僕1号👩 下僕2号👨‍💼と ゆるりと暮らしておる。そんな我のつぶやきである🐱💖 

【10分で聴く源氏物語 第17帖 絵合6完〈えあわせ〉】清い明るさに満ちた夜、中納言が和琴 帥の宮は十三弦 源氏は琴 琵琶の役は少将の命婦 音楽の素養のあるものが召され拍子を取った by 🐱

🌼【源氏物語572 第17帖 絵合 25】桐壺院の学問にする考えや 源氏自身の絵に対する思いを 帥の宮に語る。

〜明け方近くなって古い回想から湿った心持ちになった源氏は

杯を取りながら帥《そつ》の宮に語った。

「私は子供の時代から学問を熱心にしていましたが、

 詩文の方面に進む傾向があると御覧になったのですか、

 院がこうおっしゃいました、

 文学というものは世間から重んぜられるせいか、

 そのほうのことを専門的にまでやる人の長寿と幸福を

 二つともそろって得ている人は少ない。

 不足のない身分は持っているのであるから、

 あながちに文学で名誉を得る必要はない。

 その心得でやらねばならないって。

 以来私に本格的な学問をいろいろとおさせになりましたが、

 できが悪い課目もなく、

 またすぐれた深い研究のできたこともありませんでした。

 絵を描くことだけは、それは大きいことではありませんが、

 満足のできるほど精神を集中させて描いて見たいという希望が

 おりおり起こったものですが、 

 思いがけなく放浪者になりました時に、

 はじめて大自然の美しさにも接する機会を得まして、

 描くべき物は十分に与えられたのですが、

 技巧がまずくて、

 思いどおりの物を紙上に表現することはできませんでした。

 そんなものですからこれだけをお目にかけることは

 恥ずかしくていたされませんから、

 今度のような機会に持ち出しただけなのですが、

 私の行為が突飛《とっぴ》なように評されないかと心配しております」

 

🌼【源氏物語573 第17帖 絵合26】音楽に優れた才能を持ち、更に絵にも秀でていることについて感心をする帥の宮

〜「何の芸でも頭がなくては習えませんが、

 それでもどの芸にも皆師匠があって、

 導く道ができているものですから、

 深さ浅さは別問題として、

 師匠の真似《まね》をして一通りにやるだけのことは

 だれにもまずできるでしょう。

 ただ字を書くことと囲碁だけは

 芸を熱心に習ったとも思われない者からも

 ひょっくりりっぱな書を書く者、碁の名人が出ているものの、

 やはり貴族の子の中からどんな芸も

 出抜けてできる人が出るように思われます。

 院が御自身の親王内親王たちに皆

 何かの芸はお仕込みになったわけですが、

 その中でもあなたへは特別に御熱心に御教授あそばしましたし、

 熱心にもお習いになったのですから、

 詩文のほうはむろんごりっぱだし、

 そのほかでは琴《きん》をお弾きになることが第一の芸で、

 次は横笛、琵琶《びわ》、十三|絃《げん》という順に

 よくおできになる芸があると院も仰せになりました。

 世間もそう信じているのですが、

 絵などはほんのお道楽だと私も今までは思っていましたのに、

 あまりにお上手過ぎて 墨絵描きの画家が

 恥じて死んでしまう恐れがある傑作をお見せになるのは、

 けしからんことかもしれません」

 

🌼【源氏物語574 第17帖 絵合27 】清い明るさに満ちた夜、中納言が和琴 帥の宮は十三弦 源氏は琴 琵琶の役は少将の命婦 音楽の素養のあるものが召され拍子を取った。

〜宮はしまいには戯談《じょうだん》をお言いになったが

酔い泣きなのか、故院のお話をされてしおれておしまいになった。

二十幾日の月が出てまだここへはさしてこないのであるが、

空には清い明るさが満ちていた。

書司に保管されてある楽器が召し寄せられて、

中納言が和琴《わごん》の弾き手になったが、

さすがに名手であると人を驚かす芸であった。

帥の宮は十三絃、源氏は琴、

琵琶の役は少将の命婦に仰せつけられた。

殿上役人の中の音楽の素養のある者が召されて拍子を取った。

稀《まれ》なよい合奏になった。

夜が明けて桜の花も人の顔もほのかに浮き出し、

小鳥のさえずりが聞こえ始めた。

美しい朝ぼらけである。

下賜品は女院からお出しになったが、

なお親王は帝からも御衣《ぎょい》を賜わった。

この当座は

だれもだれも絵合わせの日の絵の噂《うわさ》をし合った。

 

🌼【源氏物語575 第17帖 絵合28】帝は絵合に満足あそばしたご様子であった。中納言は娘の女御に対するご愛情は特別と思いつつも不安になる。

〜「須磨、明石の二巻は女院の御座右に差し上げていただきたい」

こう源氏は申し出た。

女院はこの二巻の前後の物も皆見たく思召すとのことであったが、

「またおりを見まして」

と源氏は御挨拶《あいさつ》を申した。

帝が絵合わせに満足あそばした御様子であったのを

源氏はうれしく思った。

二人の女御の挑《いど》みから始まった

ちょっとした絵の上のことでも

源氏は大形《おおぎょう》に力を入れて

梅壺《うめつぼ》を勝たせずには置かなかったことから

中納言は娘の気《け》押されて行く運命も予感して

口惜《くちお》しがった。

帝は初めに参った女御であって、

御愛情に特別なもののあることを、

女御の父の中納言だけは想像のできる点もあって、

頼もしくは思っていて、

すべては自分の取り越し苦労であると

しいて思おうとも中納言はしていた。

 

🌼【源氏物語576 第17帖 絵合29 完】源氏は、郊外に御堂を建てさせる。仏勤めにも思いがあるが、子ども達の教育を大切にしたい気持ちもある。

〜宮中の儀式などもこの御代から始まったというものを

起こそうと源氏は思うのであった。

絵合わせなどという催しでも単なる遊戯でなく、

美術の鑑賞の会にまで引き上げて行なわれるような

盛りの御代が現出したわけである。

しかも源氏は人生の無常を深く思って、

帝がいま少し大人におなりになるのを待って、

出家がしたいと心の底では思っているようである。

昔の例を見ても、年が若くて官位の進んだ、

そして世の中に卓越した人は

長く幸福でいられないものである、

自分は過分な地位を得ている、

以前不幸な日のあったことで、

ようやくまだ今日まで運が続いているのである、

今後もなお順境に身を置いていては長命のほうが危い、

静かに引きこもって

後世《ごせ》のための仏勤めをして長寿を得たいと、

源氏はこう思って、

郊外の土地を求めて御堂《みどう》を建てさせているのであった。

仏像、経巻などもそれとともに用意させつつあった。

しかし子供たちをよく教育してりっぱな人物、

すぐれた女性にしてみようと思う精神と出家のことは

両立しないのであるから、

どっちがほんとうの源氏の心であるかわからない。

 

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