google.com, pub-8944455872984568, DIRECT, f08c47fec0942fa0

いにしえの都の高貴なネコ様のつぶやき🌸

我は、いにしえの都の高貴なネコ様🐱マロン🍀 下僕1号👩 下僕2号👨‍💼と ゆるりと暮らしておる。そんな我のつぶやきである🐱💖 

【10分で聴く源氏物語 第18帖 松風6完】源氏は、明石の上との間に生まれた姫君の袴着と養育を紫の上に頼む。子ども好きの優しい紫の上は喜ぶが、子を手放す明石の上の事を考えると源氏は煩悶した by😿

🍁【源氏物語564 第18帖 松風28】月がはなやかに上ってきた頃から音楽の合奏が始まった。琵琶、和琴などだけで笛の上手が皆選ばれて伴奏をした曲は秋にしっくりあって面白い。

〜大井の野に残った殿上役人が、

しるしだけの小鳥を萩《はぎ》の枝などへつけて

あとを追って来た。

杯がたびたび巡ったあとで

川べの逍遥《しょうよう》を危《あや》ぶまれながら

源氏は桂の院で遊び暮らした。

月がはなやかに上ってきたころから音楽の合奏が始まった。

絃楽のほうは琵琶《びわ》、

和琴《わごん》などだけで笛の上手《じょうず》が皆選ばれて

伴奏をした曲は秋にしっくり合ったもので、

感じのよいこの小合奏に川風が吹き混じっておもしろかった。

月が高く上ったころ、

清澄な世界がここに現出したような今夜の桂の院へ、

殿上人がまた四、五人連れで来た。

殿上に伺候していたのであるが、音楽の遊びがあって、

帝《みかど》が、

「今日は六日の謹慎日が済んだ日であるから、

 きっと源氏の大臣《おとど》は来るはずであるのだ、

 どうしたか」

と仰せられた時に、

嵯峨へ行っていることが奏されて、

それで下された一人のお使いと同行者なのである。

「月のすむ 川の遠《をち》なる 里なれば

 桂の影はのどけかるらん

 うらやましいことだ」

これが蔵人弁《くろうどのべん》であるお使いが

源氏に伝えたお言葉である。

源氏はかしこまって承った。

 

🍁【源氏物語565 第18帖 松風 29】宴にての心付けの品を明石の上に頼む。明石は手元にあった品を持たせてきた。『久方の 光に近き 名のみして 朝夕霧も 晴れぬ山ざと』源氏の勅答の歌である。

〜清涼殿での音楽よりも、

場所のおもしろさの多く加わったここの管絃楽に

新来の人々は興味を覚えた。また杯が多く巡った。

ここには纏頭《てんとう》にする物が備えてなかったために、

源氏は大井の山荘のほうへ、

「たいそうでないの纏頭品があれば」

と言ってやった。

明石《あかし》は手もとにあった品を取りそろえて持たせて来た。

衣服箱二荷であった。

お使いの弁は早く帰るので、さっそく女装束が纏頭に出された。

久方の 光に近き 名のみして 朝夕霧も 晴れぬ山ざと

というのが源氏の勅答の歌であった。

帝の行幸を待ち奉る意があるのであろう。

「中に生《お》ひたる」

(久方の中におひたる里なれば光をのみぞ頼むべらなる)

と源氏は古歌を口ずさんだ。

源氏がまた躬恒《みつね》

「淡路にてあはとはるかに見し月の近き今宵《こよひ》はところがらかも」

と不思議がった歌のことを言い出すと、

源氏の以前のことを思って泣く人も出てきた。

皆酔ってもいるからである。

 

🍁【源氏物語 566 第18帖 松風 30】人々は感情のあふれてくるままに、こうした人間の愛し合う世界を千年も続けて見ていきたい気を起こしたが、二条の院を出て四日目の朝に 今日こそは帰ることにした。

〜『めぐりきて 手にとるばかり さやけきや

  淡路の島の あはと見し月』

これは源氏の作である。

『浮き雲に しばしまがひし 月影の

 すみはつるよぞ のどけかるべき』

頭中将《とうのちゅうじょう》である。

右大弁は老人であって、

故院の御代《みよ》にも睦《むつ》まじくお召し使いになった人であるが、

その人の作、

『雲の上の 住みかを捨てて 夜半《よは》の月

 いづれの谷に 影隠しけん』

なおいろいろな人の作もあったが省略する。

歌が出てからは、人々は感情のあふれてくるままに、

こうした人間の愛し合う世界を千年も続けて見ていきたい気を起こしたが、

二条の院を出て四日目の朝になった源氏は、

今日はぜひ帰らねばならぬと急いだ。

一行にいろいろな物をかついだ供の人が加わった列は、

霧の間を行くのが秋草の園のようで美しかった。

近衛府《このえふ》の有名な芸人の舎人《とねり》で、

よく何かの時には源氏について来る男に今朝も

「その駒《こま》」などを歌わせたが、

源氏をはじめ高官などの脱いで与える衣服の数が多くて

そこにもまた秋の野の錦《にしき》の翻る趣があった。

大騒ぎにはしゃぎにはしゃいで桂の院を人々の引き上げて行く物音を

大井の山荘でははるかに聞いて寂しく思った。

言《こと》づてもせずに帰って行くことを源氏は心苦しく思った。

 

🍁【源氏物語567 第18帖 松風31】日暮れ前に参内しようとして出かけぎわに、大井の明石の上に 源氏は隠すように手紙を書く。こまごまと書かれている様子がうかがわれるのであった。

〜二条の院に着いた源氏はしばらく休息をしながら

夫人に嵯峨《さが》の話をした。

「あなたと約束した日が過ぎたから私は苦しみましたよ。

 風流男どもがあとを追って来てね、

 あまり留めるものだからそれに引かれていたのですよ。疲れてしまった」

と言って源氏は寝室へはいった。

夫人が気むずかしいふうになっているのも気づかないように源氏は扱っていた。

「比較にならない人を競争者ででもあるように考えたりなどすることも

 よくないことですよ。

 あなたは自分は自分であると思い上がっていればいいのですよ」

と源氏は教えていた。

日暮れ前に参内しようとして出かけぎわに、

源氏は隠すように紙を持って手紙を書いているのは大井へやるものらしかった。

こまごまと書かれている様子がうかがわれるのであった。

侍を呼んで小声でささやきながら手紙を渡す源氏を女房たちは憎く思った。

 

🍁【源氏物語568 第18帖 松風32】紫の上が、明石の上への手紙を見ようともしないのを見て、「見ないようにしていて、目のどこかであなたは見ているじゃありませんか」と溢れるような愛嬌で話しかける源氏。

〜その晩は御所で宿直《とのい》もするはずであるが、

夫人の機嫌《きげん》の直っていなかったことを思って、

夜はふけていたが源氏は夫人をなだめるつもりで帰って来ると、

大井の返事を使いが持って来た。

隠すこともできずに源氏は夫人のそばでそれを読んだ。

夫人を不愉快にするようなことも書いてなかったので、

「これを破ってあなたの手で捨ててください。困るからね、

 こんな物が散らばっていたりすることはもう

 私に似合ったことではないのだからね」

と夫人のほうへそれを出した源氏は、

脇息《きょうそく》によりかかりながら、

心のうちでは大井の姫君が恋しくて、灯《ひ》をながめて、

ものも言わずにじっとしていた。

手紙はひろがったままであるが、

女王《にょおう》が見ようともしないのを見て、

「見ないようにしていて、

 目のどこかであなたは見ているじゃありませんか」

と笑いながら夫人に言いかけた源氏の顔には

こぼれるような愛嬌《あいきょう》があった。

 

🍁【源氏物語569 第18帖 松風33完】源氏は、明石の上との間に生まれた姫君の袴着と養育を紫の上に頼む。子ども好きの優しい紫の上は喜ぶが、子を手放す明石の上の事を考えると源氏は煩悶した。

〜夫人のそばへ寄って、

「ほんとうはね、かわいい子を見て来たのですよ。

 そんな人を見ると

 やはり前生の縁の浅くないということが思われたのですがね、

 とにかく子供のことはどうすればいいのだろう。

 公然私の子供として扱うことも世間へ恥ずかしいことだし、

 私はそれで煩悶《はんもん》しています。

 いっしょにあなたも心配してください。

 どうしよう、あなたが育ててみませんか、三つになっているのです。

 無邪気なかわいい顔をしているものだから、

 どうも捨てておけない気がします。

 小さいうちにあなたの子にしてもらえば、

 子供の将来を明るくしてやれるように思うのだが、

 失敬だとお思いにならなければ

 あなたの手で袴着《はかまぎ》をさせてやってください」

源氏は言うのであった。

 

「私を意地悪な者のようにばかり決めておいでになって、

 これまでから私には大事なことを

 皆隠していらっしゃるものですもの、

 私だけがあなたを信頼していることも

 改めなければならないとこのごろは私思っています。

 けれども私は 小さい姫君のお相手にはなれますよ。

 どんなにおかわいいでしょう、その方ね」

と言って、女王は少し微笑《ほほえ》んだ。

夫人は非常に子供好きであったから、その子を自分がもらって、

その子を自分が抱いて、大事に育ててみたいと思った。

どうしよう、

そうは言ったもののここへつれて来たものであろうかと

源氏はまた煩悶《はんもん》した。

 

源氏が大井の山荘を訪うことは困難であった。

嵯峨《さが》の御堂《みどう》の念仏の日を待って

はじめて出かけられるのであったから、

月に二度より逢《あ》いに行く日はないわけである。

七夕《たなばた》よりは短い期間であっても

女にとっては苦しい十五日が繰り返されていった。

 

少納言のホームページ 源氏物語&古典 少納言の部屋🪷も ぜひご覧ください🌟https://syounagon.jimdosite.com