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いにしえの都の高貴なネコ様のつぶやき🌸

我は、いにしえの都の高貴なネコ様🐱マロン🍀 下僕1号👩 下僕2号👨‍💼と ゆるりと暮らしておる。そんな我のつぶやきである🐱💖 

【10分で聴く源氏物語 第15帖 蓬生7完】源氏の君の来訪に、末摘花の姫君は嬉しかったが立派な姿の源氏に自分を見られるのを恥ずかしく思った。末摘花の姫君は源氏の庇護のもと幸せに暮らしたby 🐱

🌿【源氏物語533 第15帖 蓬生33】源氏の君の来訪に、末摘花の姫君は嬉しかったが立派な姿の源氏に自分を見られるのを恥ずかしく思った。

〜女王《にょおう》は望みをかけて来たことの

事実になったことはうれしかったが、

りっぱな姿の源氏に見られる自分を恥ずかしく思った。

大弐《だいに》の夫人の贈った衣服はそれまで、

いやな気がしてよく見ようともしなかったのを、

女房らが香を入れる唐櫃《からびつ》にしまって置いたから

よい香のついたのに、

その人々からしかたなしに着かえさせられて、

煤《すす》けた几帳《きちょう》を引き寄せてすわっていた。

源氏は座に着いてから言った。

 

🌿【源氏物語534 第15帖 蓬生34】源氏が几帳の垂れ絹をあげると、末摘花は恥ずかしそうに座っていて よう返事をしようとしない。源氏は姫君のために言葉を尽くした。

〜「長くお逢いしないでも、

 私の心だけは変わらずにあなたを思っていたのですが、

 何ともあなたが言ってくださらないものだから、

 恨めしくて、

 今までためすつもりで冷淡を装っていたのですよ。

 しかし、三輪《みわ》の杉《すぎ》ではないが、

 この前の木立ちを目に見ると素通りができなくてね、

 私から負けて出ることにしましたよ」

几帳《きちょう》の垂《た》れ絹を少し手であけて見ると、

女王は例のようにただ恥ずかしそうにすわっていて、

すぐに返辞はようしない。

こんな住居《すまい》にまで訪ねて来た源氏の志の

身にしむことによってやっと力づいて何かを少し言った。

「こんな草原の中で、

 ほかの望みも起こさずに待っていてくだすったのだから

 私は幸福を感じる。

 またあなただって、

 あなたの近ごろの心持ちもよく聞かないままで、

 自分の愛から推して、

 愛を持っていてくださると信じて訪ねて来た私を何と思いますか。

 今日まであなたに苦労をさせておいたことも、

 私の心からのことでなくて、

 その時は世の中の事情が悪かったのだと思って

 許してくださるでしょう。

 今後の私が誠実の欠けたようなことをすれば、

 その時は私が十分に責任を負いますよ」

などと、

それほどに思わぬことも、

女を感動さすべく源氏は言った。

 

🌿【源氏物語535 第15帖 蓬生35】源氏は末摘花と歌を交わす。自身の植えた松ではないが、昔に比べて高くなった木を見ても、年月の長い隔たりが源氏に思われた。

〜泊まって行くことも

この家の様子と自身とが調和の取れないことを思って、

もっともらしく口実を作って源氏は帰ろうとした。

自身の植えた松ではないが、

昔に比べて高くなった木を見ても、

年月の長い隔たりが源氏に思われた。

そして源氏の自身の今日の身の上と

逆境にいたころとが思い比べられもした。

「藤波《ふじなみ》の打ち過ぎがたく見えつるは

 まつこそ宿のしるしなりけれ

 数えてみればずいぶん長い月日になることでしょうね。

 物哀れになりますよ。

 またゆるりと悲しい旅人だった時代の話も聞かせに来ましょう。

 あなたもどんなに苦しかったかという辛苦の跡も、

 私でなくては聞かせる人がないでしょう。

 とまちがいかもしれぬが私は信じているのですよ」

などと源氏が言うと、

 年を経て待つしるしなきわが宿は

 花のたよりに過ぎぬばかりか

と低い声で女王は言った。

身じろぎに知れる姿も、

袖に含んだにおいも

昔よりは感じよくなった気がすると源氏は思った。

 

🌿【源氏物語536 第15帖 蓬生36】末摘花は、親のしたままを長く保っていく人として心の惹かれる。差恥心の多いところもさすがに貴女であると思った。

〜落ちようとする月の光が

西の妻戸の開いた口からさしてきて、

その向こうにあるはずの廊もなくなっていたし、

廂《ひさし》の板もすっかり取れた家であるから、

明るく室内が見渡された。

昔のままに飾りつけのそろっていることは、

忍ぶ草のおい茂った外見よりも風流に見えるのであった。

昔の小説に親の作った堂を毀《こぼ》った話もあるが、

これは親のしたままを長く保っていく人として

心の惹《ひ》かれるところがあると源氏は思った。

この人の差恥《しゅうち》心の多いところも

さすがに貴女《きじょ》であるとうなずかれて、

この人を一生風変わりな愛人と思おうとした考えも、

いろいろなことに紛れて忘れてしまっていたころ、

この人はどんなに恨めしく思ったであろうと哀れに思われた。

ここを出てから源氏の訪ねて行った花散里も、

美しい派手《はで》な女というのではなかったから、

末摘花の醜さも

比較して考えられることがなく済んだのであろうと思われる。

 

🌿【源氏物語537 第15帖 蓬生37】常陸宮に贈るのは 源氏自身が何かと指図をして細やかに支援をし、屋敷の手入れなどもさせた。

賀茂祭り、斎院の御禊《ごけい》などのあるころは、

その用意の品という名義で諸方から源氏へ送って来る物の多いのを、

源氏はまたあちらこちらへ分配した。

その中でも常陸の宮へ贈るのは、

源氏自身が何かと指図《さしず》をして、

宮邸に足らぬ物を何かと多く加えさせた。

親しい家司《けいし》に命じて下男などを

宮家へやって邸内の手入れをさせた。

庭の蓬《よもぎ》を刈らせ、

応急に土塀《どべい》の代わりの板塀を作らせなどした。

源氏が妻と認めての待遇をし出したと

世間から見られるのは不名誉な気がして、

自身で訪ねて行くことはなかった。

 

🌿【源氏物語538 第15帖 蓬生38】源氏の手厚い庇護のもと、稀に見るほどに善良な末摘花の元に 去っていた女房達も戻ってきた

〜手紙はこまごまと書いて送ることを怠らない。

 二条の院にすぐ近い地所へ

 このごろ建築させている家のことを、

 源氏は末摘花に告げて、

 そこへあなたを迎えようと思う、

 今から童女として使うのによい子供を選んで

 馴らしておおきなさい。

ともその手紙には書いてあった。

女房たちの着料までも気をつけて送って来る源氏に感謝して、

それらの人々は源氏の二条の院のほうを向いて拝んでいた。

一時的の恋にも平凡な女を相手にしなかった源氏で、

ある特色の備わった女性には

興味を持って熱心に愛する人として

源氏をだれも知っているのであるが、

何一つすぐれた所のない末摘花を

なぜ妻の一人としてこんな取り扱いをするのであろう。

これも前生の因縁ごとであるに違いない。

もう暗い前途があるばかりのように見切りをつけて、

女王の家を去った人々、

それは上から下まで幾人もある旧召使が、

われもわれもと再勤を願って来た。

善良さは

稀《まれ》に見るほどの女性である末摘花のもとに使われて、

気楽に暮らした女房たちが、

ただの地方官の家などに雇われて、

気まずいことの多いのにあきれて帰って来る者もある。

見えすいたような追従も皆言ってくる

 

🌿【源氏物語539 第15帖 蓬生39 完】末摘花の姫君は源氏の☀️庇護のもと幸せに暮らした。のちに二条の東院に迎えられた。

〜昔よりいっそう強い勢力を得ている源氏は、

思いやりも深くなった今の心から、

扶《たす》け起こそうとしている女王の家は、

人影もにぎやかに見えてきて、

繁《しげ》りほうだいですごいものに見えた木や草も整理されて、

流れに水の通るようになり、

立ち木や草の姿も優美に清い感じのするものになっていった。

職を欲《ほ》しがっている下家司《しもけいし》級の人は、

源氏が一人の夫人の家として世話をやく様子を見て、

仕えたいと申し込んで来て、

宮家に執事もできた。 

末摘花は二年ほどこの家にいて、

のちには東の院へ源氏に迎えられ、

夫婦として同室に暮らすようなことはめったになかったのであるが、

近い所であったから、

ほかの用で来た時に話して行くようなことくらいはよくして、

軽蔑《けいべつ》した扱いは少しもしなかったのである。

大弐の夫人が帰京した時に、

どんな驚き方をしたか、

侍従が女王の幸福を喜びながらも、

時が待ち切れずに姫君を捨てて行った自身のあやまちを

どんなに悔いたかというようなことも、

もう少し述べておきたいのであるが、

筆者は頭が痛くなってきたから、

またほかの機会に思い出して書くことにする。

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