google.com, pub-8944455872984568, DIRECT, f08c47fec0942fa0

いにしえの都の高貴なネコ様のつぶやき🌸

我は、いにしえの都の高貴なネコ様🐱マロン🍀 下僕1号👩 下僕2号👨‍💼と ゆるりと暮らしておる。そんな我のつぶやきである🐱💖 

【10分で聴く源氏物語 第15帖 蓬生6〈よもぎう〉】廃邸じみた家に一人寂しく待っていただろう末摘花を思うと、源氏は自分が冷酷であったと反省した。源氏は姫君を訪ねる事にした‥よかった✨ by 🐱

🌿【源氏物語528 第15帖 蓬生28】惟光は荒れた屋敷に入ったが人の気配はない。帰ろうと思ったら月が差し、老女の咳が聞こえた。

〜惟光は邸の中へはいってあちらこちらと歩いて見て、

人のいる物音の聞こえる所があるかと捜したのであるが、

そんな物はない。

自分の想像どおりにだれもいない、

自分は往《ゆ》き返りにこの邸《やしき》は見るが、

人の住んでいる所とは思われなかったのだからと思って

惟光が足を返そうとする時に、

月が明るくさし出したので、

もう一度見ると、格子《こうし》を二間ほど上げて、

そこの御簾《みす》は人ありげに動いていた。

これが目にはいった刹那《せつな》は恐ろしい気さえしたが、

寄って行って声をかけると、

老人らしく咳《せき》を先に立てて答える女があった。

 

🌿【源氏物語529 第15帖 蓬生29】惟光は自分の名を告げた。家の人達は、狩衣姿の惟光を狐か何かと思ったが、姫君がまだおいでなのか聞くと皆 笑い出した。

〜「いらっしゃったのはどなたですか」

惟光《これみつ》は自分の名を告げてから、

「侍従さんという方にちょっとお目にかかりたいのですが」

と言った。

「その人はよそへ行きました。

 けれども侍従の仲間の者がおります」

と言う声は、昔よりもずっと老人じみてきてはいるが、

聞き覚えのある声であった。

家の中の人は惟光が何であったかを忘れていた。

狩衣《かりぎぬ》姿の男がそっとはいって来て、

柔らかな調子でものを言うのであったから、

あるいは狐か何かではないかと思ったが、

惟光が近づいて行って、

「確かなことをお聞かせくださいませんか。

 こちら様が昔のままでおいでになるかどうかお聞かせください。

 私の主人のほうでは変心も何もしておいでにならない御様子です。

 今晩も門をお通りになって、

 訪ねてみたく思召すふうで車を止めておいでになります。

 どうお返辞をすればいいでしょう、

 ありのままのお話を私には御遠慮なくして下さい」

と言うと、女たちは笑い出した。

 

🌿【源氏物語530 第15帖 蓬生30】老いた女房は、末摘花の姫君が大変な苦労をしながらも待ち続けていたことを伝える。惟光は源氏に初めからの事を報告した。

〜「変わっていらっしゃれば

 こんなお邸にそのまま住んでおいでになるはずもありません。

 御推察なさいまして

 あなたからよろしくお返辞を申し上げてください。

 私どものような老人でさえ経験したことのないような

 苦しみをなめて今日までお待ちになったのでございますよ」

女たちは惟光にもっともっと話したいというふうであったが、

惟光は迷惑に思って、

「いやわかりました。ともかくそう申し上げます」

と言い残して出て来た。

「なぜ長くかかったの、どうだったかね、

 昔の路《みち》を見いだせない

 蓬原《よもぎがはら》になっているね」

源氏に問われて

惟光は初めからの報告をするのであった。

 

🌿【源氏物語531 第15帖 蓬生31】廃邸じみた家に一人寂しく待っていただろう末摘花を思うと、源氏は自分が冷酷であったと反省した。源氏は姫君を訪ねる事にした。

〜「そんなふうにして、やっと人間を発見したのでございます。

 侍従の叔母《おば》で少将とか申しました老人が

 昔の声で話しました」

惟光はなお目に見た邸内の様子をくわしく言う。

源氏は非常に哀れに思った。

この廃邸じみた家に、どんな気持ちで住んでいることであろう、

それを自分は今まで捨てていたと思うと、

源氏は自分ながらも冷酷であったと省みられるのであった。

「どうしようかね、

 こんなふうに出かけて来ることも近ごろは容易でないのだから、

 この機会でなくては訪ねられないだろう。

 すべてのことを総合して考えてみても

 昔のままに独身でいる想像のつく人だ」

と源氏は言いながらも、

この邸へはいって行くことにはなお躊躇《ちゅうちょ》がされた。

この実感からよい歌を詠んでまず贈りたい気のする場合であるが、

機敏に返歌のできないことも昔のままであったなら、

待たされる使いがどんなに迷惑をするかしれないと思って

それはやめることにした。

惟光も源氏がすぐにはいって行くことは不可能だと思った。

 

🌿【源氏物語532 第15帖 蓬生32】惟光は草の露を払いながら案内した。木の枝から散る雫も秋の時雨のように降る。源氏は指貫の裾を濡らしながら訪ねていく。

〜「とても中をお歩きになれないほどの露でございます。

 蓬《よもぎ》を少し払わせましてから

 おいでになりましたら」

 この惟光《これみつ》の言葉を聞いて、

 源氏は、

 尋ねても われこそ訪《と》はめ 道もなく

 深き蓬の もとの心を」

と口ずさんだが、

やはり車からすぐに下《お》りてしまった。

惟光は草の露を馬の鞭《むち》で払いながら案内した。

木の枝から散る雫《しずく》も

秋の時雨《しぐれ》のように荒く降るので、

傘《かさ》を源氏にさしかけさせた。

惟光が、

「木の下露は雨にまされり

(みさぶらひ御笠《みかさ》と申せ宮城野《みやぎの》の)

 でございます」

と言う。

源氏の指貫《さしぬき》の裾《すそ》はひどく濡れた。

昔でさえあるかないかであった中門などは影もなくなっている。

家の中へはいるのもむき出しな気のすることであったが、

だれも人は見ていなかった。

🪷少納言のホームページ 源氏物語&古典 少納言の部屋 ぜひご覧ください🪷 https://syounagon.jimdosite.com