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いにしえの都の高貴なネコ様のつぶやき🌸

我は、いにしえの都の高貴なネコ様🐱マロン🍀 下僕1号👩 下僕2号👨‍💼と ゆるりと暮らしておる。そんな我のつぶやきである🐱💖 

【10分で聴く源氏物語 第10帖 賢木7〈さかき〉】源氏は藤壺の宮の御髪とお召し物を手にとらえた。宮は迫る源氏を強く避けておいでになる‥源氏くんよ!(◎_◎;) 一旦 落ち着こうよ by🙀

🌒【源氏物語216 第十帖 賢木28】源氏は静かに宮の御帳台へ伝っていき 宮のお召し物のつま先を手でひいた。宮は源氏の君だとお悟りになった。

〜これだけでも召し上がるようにと思って、

女房たちが持って来たお菓子の台がある、

そのほかにも

箱の蓋などに感じよく調理された物が積まれてあるが、

宮はそれらにお気がないようなふうで、

物思いの多い様子をして

静かに一所をながめておいでになるのがお美しかった。

髪の質、頭の形、髪のかかりぎわなどの美しさは

西の対の姫君とそっくりであった。

よく似たことなどを近ごろは初めほど感ぜずにいた源氏は、

今さらのように驚くべく酷似した二女性であると思って、

苦しい片恋のやり場所を自分は持っているのだという気が少しした。

 

高雅な所も別人とは思えないのであるが、

初恋の宮は思いなしか一段すぐれたものに見えた。

華麗な気の放たれることは

昔にましたお姿であると思った源氏は前後も忘却して、

そっと静かに帳台へ伝って行き、

宮のお召し物の褄《つま》先を手で引いた。

源氏の服の薫香《くんこう》の香《か》がさっと立って、

宮は様子をお悟りになった。

 

🌒【源氏物語217 第十帖 賢木29】源氏は藤壺の宮の御髪とお召し物を手にとらえた。宮は迫る源氏を強く避けておいでになる。

〜驚きと恐れに 宮は前へひれ伏しておしまいになったのである。

せめて見返ってもいただけないのかと、

源氏は飽き足らずも思い、

恨めしくも思って、

お裾《すそ》を手に持って引き寄せようとした。

宮は上着を源氏の手にとめて、

御自身は外のほうへお退《の》きになろうとしたが、

宮のお髪《ぐし》はお召し物とともに男の手がおさえていた。

宮は悲しくて

お自身の薄倖《はっこう》であることを お思いになるのであったが、

非常にいたわしい御様子に見えた。

源氏も今日の高い地位などは皆忘れて、

魂も顛倒《てんとう》させたふうに泣き泣き恨みを言うのであるが、

宮は心の底からおくやしそうでお返辞もあそばさない。

ただ、

「私はからだが今非常によくないのですから、

 こんな時でない機会がありましたら詳しくお話をしようと思います」

とお言いになっただけであるのに、

源氏のほうでは苦しい思いを告げるのに千言万語を費やしていた。

さすがに身に沁《し》んでお思われになることも

混じっていたに違いない。

以前になかったことではないが、

またも罪を重ねることは堪えがたいことであると

思召《おぼしめ》す宮は、

柔らかい、なつかしいふうは失わずに、

しかも迫る源氏を強く避けておいでになる。

ただこんなふうで今夜も明けていく。

 

🌒【源氏物語218 第十帖 賢木30】夜が明けても源氏は宮に訴える。宮様は半ば死んだようになっておいでになる。恐ろしいほどに源氏は真剣になっていた。

〜この上で力で勝つことは

なすに忍びない 清い気高さの備わった方であったから、

源氏は、

「私はこれだけで満足します。

 せめて今夜ほどに接近するのをお許しくだすって、

 今後も時々は私の心を聞いてくださいますなら、

 私はそれ以上の無礼をしようとは思いません」

こんなふうに言って油断をおさせしようとした。

今後の場合のために。

こうした深刻な関係でなくても、

これに類したあぶない逢瀬《おうせ》を作る恋人たちは

別れが苦しいものであるから、まして源氏にここは離れがたい。

 

夜が明けてしまったので

命婦と弁とが源氏の退去をいろいろに言って頼んだ。

宮様は半ば死んだようになっておいでになるのである。

「恥知らずの男がまだ生きているかと

 お思われしたくありませんから、

 私はもうそのうち死ぬでしょう。

 そしたらまた死んだ魂が

 この世に執着を持つことで罰せられるのでしょう」

恐ろしい気がするほど源氏は真剣になっていた。

 

🌒【源氏物語219 第十帖 賢木31】源氏の恐ろしいほど真剣な恋心に戸惑う宮。源氏は御所にもいかず引きこもり 魂もどこかへ行っているようである。

〜「逢ふことの 難《かた》きを今日に 限らずば

なほ幾世をか歎《なげ》きつつ経ん

どうなってもこうなっても私はあなたにつきまとっているのですよ」

 

 宮は吐息《といき》をおつきになって、

長き世の 恨みを人に 残してもかつは 心をあだとしらなん

とお言いになった。

源氏の言葉を わざと軽く受けたようにしておいでになる御様子の優美さに

源氏は心を惹《ひ》かれながらも 宮の御|軽蔑を受けるのも苦しく、

わがためにも自重しなければならないことを思って帰った。

 

あれほど冷酷に扱われた自分は もうその方に顔もお見せしたくない。

同情をお感じになるまでは沈黙をしているばかりであると源氏は思って、

それ以来宮へお手紙を書かないでいた。

 

ずっともう御所へも東宮へも出ずに引きこもっていて、

夜も昼も冷たいお心だとばかり恨みながらも、

自分の今の態度を裏切るように恋しさがつのった。

魂もどこかへ行っているようで、 病気にさえかかったらしく感ぜられた。

 

🌒【源氏物語220 第十帖 賢木32】東宮のためには源氏が頼りではあるが、このままでは人の噂になるだろう。宮は尼になることを考える。

〜心細くて人間的な生活を捨てないから

ますます悲しみが多いのである、

自分などは僧房の人になるべきであると、

こんな決心をしようとする時に

いつも思われるのは 若い夫人のことであった。

優しく自分だけを頼みにして生きている妻を

捨てえようとは思われないのであった。  

 

宮のお心も非常に動揺したのである。

源氏はその時きり引きこもって手紙も送って来ないことで

命婦などは気の毒がった。

宮も東宮のためには

源氏に好意を持たせておかねばならないのに、

自分の態度から人生を悲観して

僧になってしまわれることになってはならぬと

さすがに思召すのであった。

 

そうといってああしたことが始終あっては

瑕《きず》を捜し出すことの好きな世間は

どんな噂を作るかが想像される。

自分が尼になって、

太后に不快がられている后の位から退いてしまおうと、

こうこのごろになって宮はお思いになるようになった。

院が自分のためにどれだけ重い御遺言をあそばされたかを考えると

何ごとも当代にそれが実行されていないことが思われる。

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