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いにしえの都の高貴なネコ様のつぶやき🌸

我は、いにしえの都の高貴なネコ様🐱マロン🍀 下僕1号👩 下僕2号👨‍💼と ゆるりと暮らしておる。そんな我のつぶやきである🐱💖 

【10分で聴く源氏物語 第21帖 乙女4〈おとめ〉】内大臣は雲居の雁の恋愛に悩む。従弟どうしの結婚などはあまりにありふれたことすぎるし、東宮へと考えていたのでだ一つの慰めだったこともこわされたと思うのであった。by🐱

🌼【源氏物語662 第21帖 乙女17】内大臣は「人生などというものは、せめて好きな楽しみでもして暮らしてしまいたい」と言いながら夕霧に杯を勧める。雲居の雁の姫君はもうあちらへ帰してしまったのである。

〜「こちらへ」

と宮はお言いになって、

お居間の中の几帳を隔てた席へ若君は通された。

「あなたにはあまり逢いませんね。

 なぜそんなにむきになって学問ばかりをおさせになるのだろう。

 あまり学問のできすぎることは不幸を招くことだと

 大臣も御体験なすったことなのだけれど、

 あなたをまたそうおしつけになるのだね、

 わけのあることでしょうが、

 ただそんなふうに閉じ込められていて

 あなたがかわいそうでならない」

内大臣は言った。

「時々は違ったこともしてごらんなさい。

 笛だって古い歴史を持った音楽で、

 いいものなのですよ」

内大臣はこう言いながら笛を若君へ渡した。

若々しく朗らかな音《ね》を吹き立てる笛がおもしろいために

しばらく絃楽のほうはやめさせて、

大臣はぎょうさんなふうでなく拍子を取りながら、

「萩《はぎ》が花ずり」

衣がへせんや、わが衣は野原 篠原《しのはら》萩の花ずり)など歌っていた。

 

太政大臣も音楽などという芸術がお好きで、

 政治のほうのことからお脱《ぬ》けになったのですよ。

 人生などというものは、

 せめて好きな楽しみでもして暮らしてしまいたい」

と言いながら甥《おい》に杯を勧めなどしているうちに

暗くなったので灯《ひ》が運ばれ、

湯|漬《づ》け、菓子などが皆の前へ出て食事が始まった。

姫君はもうあちらへ帰してしまったのである。

しいて二人を隔てて、

琴の音すらも若君に聞かせまいとする内大臣の態度を、

大宮の古女房たちはささやき合って、

「こんなことで近いうちに悲劇の起こる気がします」

とも言っていた。

 

🌼【源氏物語663 第21帖 乙女18】大臣は、自分の恋人の部屋から廊下に出て行く時 女房達の部屋から話が聞こえた。そこで 雲居の雁と夕霧の恋に気がついてしまった。

大臣は帰って行くふうだけを見せて、

情人である女の部屋にはいっていたが、

そっとからだを細くして廊下を出て行く間に、

少年たちの恋を問題にして語る女房たちの部屋があった。

不思議に思って立ち止まって聞くと、

それは自身が批評されているのであった。

「賢がっていらっしゃっても甘いのが親ですね。

 とんだことが知らぬ間に起こっているのですがね。

 子を知るは親にしかずなどというのは嘘ですよ」

 などこそこそと言っていた。

情けない、自分の恐れていたことが事実になった。

打っちゃって置いたのではないが、

子供だから油断をしたのだ。

人生は悲しいものであると大臣は思った。

すべてを大臣は明らかに悟ったのであるが、

そっとそのまま出てしまった。

前駆がたてる人払いの声のぎょうさんなのに、

はじめて女房たちはこの時間までも

大臣がここに留まっていたことを知ったのである。

「殿様は今お帰りになるではありませんか。

 どこの隅《すみ》にはいっておいでになったのでしょう。

 あのお年になって浮気はおやめにならない方ね」

と女房らは言っていた。

内証話をしていた人たちは困っていた。

「あの時非常にいいにおいが

 私らのそばを通ったと思いましたがね、

 若君がお通りになるのだとばかり思っていましたよ。

 まあこわい、悪口がお耳にはいらなかったでしょうか。

 意地悪をなさらないとも限りませんね」

 

🌼【源氏物語664 第21帖 乙女19】内大臣は雲居の雁の恋愛に悩む。従弟どうしの結婚などはあまりにありふれたことすぎるし、東宮へと考えていたのでだ一つの慰めだったこともこわされたと思うのであった。

内大臣は車中で娘の恋愛のことばかりが考えられた。

非常に悪いことではないが、

従弟どうしの結婚などはあまりにありふれたことすぎるし、

野合の初めを世間の噂《うわさ》に上されることもつらい。

後宮の競争に女御をおさえた源氏が恨めしい上に、

また自分はその失敗に代えて

あの娘を東宮へと志していたのではないか、

僥倖《ぎょうこう》があるいはそこにあるかもしれぬと、

ただ一つの慰めだったこともこわされたと思うのであった。

源氏と大臣との交情は睦《むつ》まじく行っているのであるが、

昔もその傾向があったように、

負けたくない心が断然強くて、

大臣はそのことが不快であるために朝まで安眠もできなかった。

大宮も様子を悟っておいでになるであろうが、

非常におかわいくお思いになる孫であるから勝手なことをさせて、

見ぬ顔をしておいでになるのであろうと女房たちの言っていた点で、

大臣は大宮を恨めしがっていた。

腹がたつとそれを内におさえることのできない性質で大臣はあった。

 

🌼【源氏物語665 第21帖 乙女20】大臣は、雲居の雁と夕霧の恋について 大宮に恨み言を言う。大宮は「どんなことがあって、この年になってからあなたに恨まれたりするのだろう」と宮の仰せられる。

〜二日ほどしてまた内大臣は大宮を御訪問した。

こんなふうにしきりに出て来る時は宮の御機嫌がよくて、

おうれしい御様子がうかがわれた。

形式は尼になっておいでになる方であるが、

髪で額を隠して、お化粧もきれいにあそばされ、

はなやかな小袿《こうちぎ》などにもお召しかえになる。

子ながらも晴れがましくお思われになる大臣で、

ありのままのお姿ではお逢いにならないのである。

内大臣は不機嫌な顔をしていた。

「こちらへ上がっておりましても

 私は恥ずかしい気がいたしまして、

 女房たちはどう批評をしていることだろうかと心が置かれます。

 つまらない私ですが、生きておりますうちは始終伺って、

 物足りない思いをおさせせず、

 私もその点で満足を得たいと思ったのですが、

 不良な娘のためにあなた様を

 お恨めしく思わずにいられませんようなことができてまいりました。

 そんなに真剣にお恨みすべきでないと、

 自分ながらも心をおさえようとするのでございますが、

 それができませんで」

大臣が涙を押しぬぐうのを御覧になって、

お化粧あそばした宮のお顔の色が変わった。

涙のために白粉《おしろい》が落ちてお目も大きくなった。

「どんなことがあって、

 この年になってからあなたに恨まれたりするのだろう」

と宮の仰せられるのを聞くと、さ

すがにお気の毒な気のする大臣であったが続いて言った。

 

🌼【源氏物語666 第21帖 乙女21】大臣は、大宮に夕霧の若君と雲居の雁が恋仲になっていることを大宮に伝える。大宮は困惑される。

「御信頼しているものですから、子供をお預けしまして、

 親である私はかえって何の世話もいたしませんで、

 手もとに置きました娘の後宮のはげしい競争に

 敗惨《はいざん》の姿になって、

 疲れてしまっております方のことばかりを心配して

 世話をやいておりまして、

 こちらに御 厄介《やっかい》になります以上は、

 私がそんなふうに捨てて置きましても、

 あなた様は彼を一人並みの女にしてくださいますことと

 期待していたのですが、

 意外なことになりましたから、私は残念なのです。

 源氏の大臣は天下の第一人者といわれるりっぱな方ではありますが

 ほとんど家の中どうしのような者のいっしょになりますことは、

 人に聞こえましても軽率に思われることです。

 低い身分の人たちの中でも、

 そんなことは世間へはばかってさせないものです。

 それはあの人のためにもよいことでは決してありません。

 全然離れた家へはなやかに婿として迎えられることが

 どれだけ幸福だかしれません。

 従姉《いとこ》の縁で強《し》いた結婚だというように取られて、

 源氏の大臣も不快にお思いになるかもしれませんよ。

 それにしましてもそのことを私へお知らせくださいましたら、

 私はまた計らいようがあるというものです。

 ある形式を踏ませて、

 少しは人聞きをよくしてやることもできたでしょうが、

 あなた様が、

 ただ年若な者のする放縦な行動そのままに

 お捨て置きになりましたことを私は遺憾《いかん》に思うのです」

くわしく大臣が言うことによって、

はじめて真相をお悟りになった宮は、

夢にもお思いにならないことであったから、

あきれておしまいになった。

 

🌼【源氏物語667 第21帖 乙女22】大宮は、「人の中傷かもしれぬことで、腹をお立てになったりなさることはよくないし、ないことで娘の名に傷をつけてしまうことにもなりますよ」と大臣に言う。

「あなたがそうお言いになるのはもっともだけれど、

私はまったく二人の孫が何を思って、

何をしているかを知りませんでした。

私こそ残念でなりませんのに、

同じように罪を私が負わせられるとは恨めしいことです。

私は手もとへ来た時から、特別にかわいくて、

あなたがそれほどにしようとお思いにならないほど大事にして、

私はあの人に

女の最高の幸福を受けうる価値もつけようとしてました。

一方の孫を溺愛《できあい》して、

ああしたまだ少年の者に

結婚を許そうなどとは思いもよらぬことです。

それにしても、

だれがあなたにそんなことを言ったのでしょう。

人の中傷かもしれぬことで、

腹をお立てになったりなさることはよくないし、

ないことで娘の名に傷をつけてしまうことにもなりますよ」

「何のないことだものですか。

 女房たちも批難して、

 蔭《かげ》では笑っていることでしょうから、

 私の心中は穏やかでありようがありません」

と言って大臣は立って行った。

幼い恋を知っている人たちは、

この破局に立ち至った少年少女に同情していた。

先夜の内証話をした人たちは逆上もしてしまいそうになって、

どうしてあんな秘密を話題にしたのであろうと

後悔に苦しんでいた。

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