google.com, pub-8944455872984568, DIRECT, f08c47fec0942fa0

いにしえの都の高貴なネコ様のつぶやき🌸

我は、いにしえの都の高貴なネコ様🐱マロン🍀 下僕1号👩 下僕2号👨‍💼と ゆるりと暮らしておる。そんな我のつぶやきである🐱💖 

【10分で聴く源氏物語 21帖 乙女6】雲井の雁は祖母の宮のお嘆きの原因に自分の恋愛問題がなっているのであると思うと、羞恥の感に堪えられなくて、顔も上げることができずに泣いてばかりいた。by😿

🌼【源氏物語674 第21帖 乙女29】大臣は冷泉帝に女御退出を願い出て自邸に迎えることにした。女御の話し相手として雲居の雁も呼ばれた。

内大臣はそれきりお訪ねはしないのであるが

宮を非常に恨めしく思っていた。

夫人には

雲井の雁の姫君の今度の事件についての話をしなかったが、

ただ気むずかしく不機嫌になっていた。

中宮がはなやかな儀式で

 立后後の宮中入りをなすったこの際に、

 女御が同じ御所でめいった気持ちで

 暮らしているかと思うと私はたまらないから、

 退出させて気楽に家《うち》で遊ばせてやりたい。

 さすがに陛下は

 おそばをお離しにならないようにお扱いになって、

 夜昼上の御局《みつぼね》へ上がっているのだから、

 女房たちなども

 緊張してばかりいなければならないのが苦しそうだから」

こう夫人に語っている大臣は

にわかに女御退出のお暇を帝《みかど》へ願い出た。

御寵愛《ちょうあい》の深い人であったから、

お暇を許しがたく帝《みかど》は

思召《おぼしめ》したのであるが、

いろいろなことを言い出して

大臣が意志を貫徹しようとするので、

帝はしぶしぶ許しあそばされた。

自邸に帰った女御に大臣は、

「退屈でしょうから、

 あちらの姫君を呼んでいっしょに遊ぶことなどなさい。

 宮にお預けしておくことは安心なようではあるが、

 年の寄った女房があちらには多すぎるから、

 同化されて若い人の慎み深さがなくなってはと、

 もうそんなことも

 考えなければならない年ごろになっていますから」

こんなことを言って、

にわかに雲井の雁を迎えることにした。

 

🌼【源氏物語675 第21帖 乙女30】大宮は「人というものは、どんなに愛するものでも こちらをそれほどには思ってはくれないものだね‥そして 大臣は私を恨んで、姫君をつれて行ってしまう」と嘆く。

〜大宮は力をお落としになって、

「たった一人あった女の子が亡くなってから

 私は心細い気がして寂しがっていた所へ、

 あなたが姫君をつれて来てくれたので、

 私は一生ながめて楽しむことのできる宝のように

 思って世話をしていたのに、

 この年になってあなたに信用されなくなったかと

 思うと恨めしい気がします」

とお言いになると、

大臣はかしこまって言った。

「遺憾《いかん》な気のしましたことは、

 その場でありのままに申し上げただけのことでございます。

 あなた様を御信用申さないようなことが、

 どうしてあるものでございますか。

 御所におります娘が、

 いろいろと朗らかでないふうでこの節邸《やしき》へ

 帰っておりますから、

 退屈そうなのが哀れでございまして、

 いっしょに遊んで暮らせばよいと思いまして、

 一時的につれてまいるのでございます」

また、

「今日までの御養育の御恩は決して忘れさせません」

とも言った。

こう決めたことはとどめても思い返す性質でないことを 

御承知の宮はただ残念に思召すばかりであった。

「人というものは、

 どんなに愛するものでも

 こちらをそれほどには思ってはくれないものだね。

 若い二人がそうではないか、

 私に隠して大事件を起こしてしまったではないか。

 それはそれでも大臣は

 りっぱなでき上がった人でいながら私を恨んで、

 こんなふうにして姫君をつれて行ってしまう。

 あちらへ行ってここにいる以上の

 平和な日があるものとは思われないよ」

お泣きになりながら、

こう女房たちに宮は言っておいでになった。

 

🌼【源氏物語676 第21帖 乙女31】大宮にとって、夕霧と雲井の雁はお手元で育てられてきたこともあり 二人が去ってしまって寂しくなることを宮は歎《なげ》いておいでになった。

〜ちょうどそこへ若君が来た。

少しの隙《すき》でもないかと

このごろはよく出て来るのである。

内大臣の車が止まっているのを見て、

心の鬼にきまり悪さを感じた若君は、

そっとはいって来て自身の居間へ隠れた。

内大臣の息子たちである左少将《さしょうしょう》、

少納言《しょうなごん》、

兵衛佐《ひょうえのすけ》、侍従《じじゅう》、

大夫《だいふ》などという人らも

このお邸《やしき》へ来るが、

御簾《みす》の中へはいることは許されていないのである。

左衛門督《さえもんのかみ》、

中納言《ごんちゅうなごん》などという内大臣の兄弟は

ほかの母君から生まれた人であったが、

故人の太政大臣

宮へ親子の礼を取らせていた関係から、

今も敬意を表しに来て、

その子供たちも出入りするのであるが、

だれも源氏の若君ほど美しい顔をしたのはなかった。

宮のお愛しになることも比類のない御孫であったが、

そのほかには雲井の雁だけが

お手もとで育てられてきて

深い御愛情の注がれている御孫であったのに、

突然こうして去ってしまうことになって、

お寂しくなることを宮は歎《なげ》いておいでになった。

 

🌼【源氏物語677 第21帖 乙女32】雲井の雁は祖母の宮のお嘆きの原因に自分の恋愛問題がなっているのであると思うと、羞恥の感に堪えられなくて、顔も上げることができずに泣いてばかりいた。

大臣は、

「ちょっと御所へ参りまして、

 夕方に迎えに来ようと思います」

と言って出て行った。

事実に潤色を加えて結婚をさせてもよいとは

大臣の心にも思われたのであるが、

やはり残念な気持ちが勝って、

ともかくも相当な官歴ができたころ、

娘への愛の深さ浅さをも見て、

許すにしても形式を整えた結婚をさせたい、

厳重に監督しても、

そこが男の家でもある所に置いては、

若いどうしは放縦なことをするに違いない。

宮もしいて制しようとは

あそばさないであろうからとこう思って、

女御《にょご》のつれづれに託して、

自家のほうへも官邸へも軽いふうを装って

伴い去ろうと大臣はするのである。

宮は雲井の雁へ手紙をお書きになった。

大臣は私を恨んでいるかしりませんが、

あなたは、

私がどんなにあなたを愛しているかを知っているでしょう。

こちらへ逢いに来てください。

宮のお言葉に従って、

きれいに着かざった姫君が出て来た。

年は十四なのである。

まだ大人にはなりきってはいないが、

子供らしくおとなしい美しさのある人である。

「始終あなたをそばに置いて見ることが、

 私のなくてならぬ慰めだったのだけれど、

 行ってしまっては寂しくなることでしょう。

 私は年寄りだから、

 あなたの生《お》い先が見られないだろうと、

 命のなくなるのを心細がったものですがね。

 私と別れてあなたの行く所はどこかと思うと

 かわいそうでならない」

と言って宮はお泣きになるのであった。

雲井の雁は祖母の宮のお歎《なげ》きの原因に

自分の恋愛問題がなっているのであると思うと、

羞恥《しゅうち》の感に堪えられなくて、

顔も上げることができずに泣いてばかりいた。

 

🌼【源氏物語678 第21帖 乙女33】若君の乳母が、「若様とご一緒の御主人様だと思っておりましたのに‥。殿様が他の方と御結婚をおさせになろうとされても、お従いにならぬようにあそばせ」などと小声で言う

〜若君の乳母の宰相の君が出て来て、

「若様とごいっしょの御主人様だと

 ただ今まで思っておりましたのに行っておしまいになるなどとは

 残念なことでございます。

 殿様がほかの方と御結婚をおさせになろうとあそばしましても、

 お従いにならぬようにあそばせ」

などと小声で言うと、

いよいよ恥ずかしく思って、

雲井《くもい》の雁《かり》はものも言えないのである。

「そんな面倒《めんどう》な話はしないほうがよい。

 縁だけはだれも前生から決められているのだからわからない」

と宮がお言いになる。

「でも殿様は貧弱だと思召《おぼしめ》して

 若様を軽蔑あそばすのでございましょうから。

 まあお姫様見ておいであそばせ、

 私のほうの若様が人におくれをおとりになる方かどうか」

 口惜《くちお》しがっている乳母は

こんなことも言うのである。

若君は几帳《きちょう》の後ろへはいって来て

恋人をながめていたが、

人目を恥じることなどはもう物の切迫しない場合のことで、

今はそんなことも思われずに泣いているのを、

乳母はかわいそうに思って、

宮へは体裁よく申し上げ、

夕方の暗《くら》まぎれに二人をほかの部屋で逢わせた。

きまり悪さと恥ずかしさで二人はものも言わずに泣き入った。

 

🪷少納言のホームページ 源氏物語&古典 少納言の部屋 ぜひご覧ください🪷 https://syounagon.jimdosite.com