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いにしえの都の高貴なネコ様のつぶやき🌸

我は、いにしえの都の高貴なネコ様🐱マロン🍀 下僕1号👩 下僕2号👨‍💼と ゆるりと暮らしておる。そんな我のつぶやきである🐱💖 

【10分で聴く源氏物語 第9帖 葵13完〈あおい〉】惟光は結婚のための餅を 少納言の娘の弁に御寝室の枕元に差し上げるよう頼んだ。少納言は源氏の好意に涙した。結婚の儀式もして、源氏は若紫に夢中 by🐱

🌷【源氏物語183 第九帖 葵56】惟光は結婚のための餅を 少納言の娘の弁に御寝室の枕元に差し上げるよう頼んだ。少納言は源氏の好意に涙した。

〜人間はあさましいものである、

もう自分は一夜だって

この人と別れていられようとも思えないと

源氏は思うのであった。

命ぜられた餠を惟光は

わざわざ夜ふけになるのを待って持って来た。

少納言のような年配な人に頼んでは

きまり悪くお思いになるだろうと、

そんな思いやりもして、

惟光は少納言の娘の弁という女房を呼び出した。

「これはまちがいなく御寝室のお枕もとへ

 差し上げなければならない物なのですよ。

 お頼みします。たしかに」

弁はちょっと不思議な気はしたが、

「私はまだ、

 いいかげんなごまかしの必要なような交渉を

 だれともしたことがありませんわ」

と言いながら受け取った。

「そうですよ、

 今日はそんな不誠実とか何とかいう言葉を

 慎まなければならなかったのですよ。

 私ももう縁起のいい言葉だけをよって使います」

と惟光は言った。

 

若い弁は理由のわからぬ気持ちのままで、

主人の寝室の枕もとの几帳《きちょう》の下から、

三日の夜の餠のはいった器を中へ入れて行った。

この餠の説明も新夫人に源氏が自身でしたに違いない。

だれも何の気もつかなかったが、

翌朝その餠の箱が寝室から下げられた時に、

側近している女房たちにだけはうなずかれることがあった。

皿などもいつ用意したかと思うほど

見事な華足《けそく》付きであった。

餠もことにきれいに作られてあった。

少納言は感激して泣いていた。

結婚の形式を正しく踏んだ源氏の好意がうれしかったのである。

「それにしても私たちへそっとお言いつけになればよろしいのにね。

 あの人が不思議に思わなかったでしょうかね」

とささやいていた。

 

🌷【源氏物語184 第九帖 葵57】源氏は若紫に夢中である。右大臣は、源氏を六の君の婿にと思うが 皇太后はそれに対し憤慨する。

〜若紫と新婚後は宮中へ出たり、

院へ伺候していたりする間も

絶えず源氏は可憐な妻の面影を心に浮かべていた。

恋しくてならないのである。

不思議な変化が自分の心に現われてきたと思っていた。

恋人たちの所からは

長い途絶えを恨めしがった手紙も来るのであるが、

無関心ではいられないものもそれらの中にはあっても、

新婚の快い酔いに身を置いている源氏に及ぼす力は

きわめて微弱なものであったに違いない。

厭世的になっているというふうを源氏は表面に作っていた。

いつまでこんな気持ちが続くかしらぬが、

今とはすっかり別人になりえた時に逢いたいと思うと、

こんな返事ばかりを源氏は恋人にしていたのである。

 

太后は妹の六の君が

このごろもまだ源氏の君を思っていることから

父の右大臣が、

「それもいい縁のようだ、

正夫人が亡くなられたのだから、

あの方も改めて婿にすることは家の不名誉では決してない」

と言っているのに憤慨しておいでになった。

 

🌷【源氏物語185 第九帖 葵58】右大臣の六の君や 六条御息所に心は残しつつも、紫の君の他にほかに分ける心が見出せない源氏。

〜「宮仕えだって、だんだん地位が上がっていけば

 悪いことは少しもないのです」

こう言って宮廷入りをしきりに促しておいでになった。

その噂の耳にはいる源氏は、

並み並みの恋愛以上のものをその人に持っていたのであるから、

残念な気もしたが、現在では紫の女王のほかに分ける心が

見いだせない源氏であって、

六の君が運命に従って行くのもしかたがない。

短い人生なのだから、最も愛する一人を妻に定めて満足すべきである。

恨みを買うような原因を少しでも作らないでおきたいと、

こう思っていた。

六条の御息所と先夫人の葛藤が

源氏を懲りさせたともいえることであった。

御息所の立場には同情されるが、

同棲して精神的の融和がそこに見いだせるかは疑問である。

これまでのような関係に満足していてくれれば、

高等な趣味の友として自分は愛することができるであろうと

源氏は思っているのである。

これきり別れてしまう心はさすがになかった。

 

🌷【源氏物語186 第九帖 葵59】源氏は紫の君の裳着の準備をする。しかし姫君はつれない。源氏は姫君に恨み言を言う。

〜二条の院の姫君が何人《なにびと》であるかを

世間がまだ知らないことは、

実質を疑わせることであるから、

父宮への発表を急がなければならないと源氏は思って、

裳着《もぎ》の式の用意を

自身の従属関係になっている役人たちにも命じてさせていた。

こうした好意も紫の君はうれしくなかった。

純粋な信頼を裏切られたのは自分の認識が不足だったのであると

悔やんでいるのである。

目も見合わないようにして源氏を避けていた。

戯談《じょうだん》を言いかけられたりすることは

苦しくてならぬふうである。

鬱々《うつうつ》と物思わしそうにばかりして

以前とはすっかり変わった夫人の様子を源氏は美しいこととも、

可憐なこととも思っていた。

「長い間どんなにあなたを愛して来たかもしれないのに、

あなたのほうはもう私がきらいになったというようにしますね。

それでは私がかわいそうじゃありませんか」

恨みらしく言ってみることもあった。

 

🌷【源氏物語187 第九帖 葵60】源氏は御所に参賀に周り、左大臣家にも行った。若君は、目付き口元が東宮にそっくりである。よく笑うのも哀れである。

〜こうして今年が暮れ、新しい春になった。

元日には院の御所へ先に伺候してから参内をして、

東宮の御殿へも参賀にまわった。

そして御所からすぐに左大臣家へ源氏は行った。

大臣は元日も家にこもっていて、

家族と故人の話をし出しては寂しがるばかりであったが、

源氏の訪問にあって、

しいて、悲しみをおさえようとするのがさも堪えがたそうに見えた。

重ねた一歳は源氏の美に重々しさを添えたと大臣家の人は見た。

以前にもまさってきれいでもあった。

大臣の前を辞して昔の住居《すまい》のほうへ行くと、

女房たちは珍しがって皆 源氏を見に集まって来たが、

だれも皆つい涙をこぼしてしまうのであった。

若君を見るとしばらくのうちに驚くほど大きくなっていて、

よく笑うのも哀れであった。

目つき口もとが東宮にそっくりであるから、

これを人が怪しまないであろうかと源氏は見入っていた。

夫人のいたころと同じように初春の部屋が装飾してあった。

衣服掛けの棹《さお》に

新調された源氏の春着が掛けられてあったが、

女の服が並んで掛けられてないことは見た目だけにも寂しい。

 

🌷【源氏物語188 第九帖 葵61完】左大臣の北の方の宮様が源氏に、素晴らしい衣装を贈る。源氏は下襲をすぐにそれに替える。

〜宮様の挨拶を女房が取り次いで来た。

「今日だけはどうしても昔を忘れていなければならないと

辛抱しているのですが、御訪問くださいましたことでかえって

その努力がむだになってしまいました」

それから、また、

「昔からこちらで作らせますお召し物も、あれからのちは

涙で私の視力も曖昧なんですから不出来にばかりなりましたが、

今日だけはこんなものでもお着かえくださいませ」

 と言って、掛けてある物のほかに、

非常に凝った美しい衣裳一|揃《そろ》いが贈られた。

当然今日の着料になる物としてお作らせになった下襲は、

色も織り方も普通の品ではなかった。

着ねば力をお落としになるであろうと思って

源氏はすぐに下襲をそれに変えた。

もし自分が来なかったら失望あそばしたであろうと思うと

心苦しくてならないものがあった。

お返辞の挨拶は、

「春の参りましたしるしに、

当然参るべき私がお目にかかりに出たのですが、

あまりにいろいろなことが思い出されまして、

お話を伺いに上がれません。

あまたとし 今日改めし色ごろも きては涙ぞ 降るここちする

自分をおさえる力もないのでございます」

と取り次がせた。

宮から、

新しき 年ともいはず 降るものは ふりぬる人の 涙なりけり

という御返歌があった。

どんなにお悲しかったことであろう。

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