google.com, pub-8944455872984568, DIRECT, f08c47fec0942fa0

いにしえの都の高貴なネコ様のつぶやき🌸

我は、いにしえの都の高貴なネコ様🐱マロン🍀 下僕1号👩 下僕2号👨‍💼と ゆるりと暮らしておる。そんな我のつぶやきである🐱💖 

【🌊10分で聴く平家物語34】🗡️無文の太刀🕯️灯篭〈とうろう〉💰金渡し〜平重盛殿‥人柄もよく人望もある優れた方だけれど、この方が亡くなって清盛入道の暴走を諌める人がいなくなった(´;ω;`)by😿

平家物語68 第3巻 無文の太刀】

重盛は、

未来を予見する不思議な能力を持っていた。

これは生前の話であるが、

ある夜、重盛は夢を見た。

場所ははっきりとはわからないが、

どこかの浜辺を歩いていると、

道の傍に大きな鳥居がある。

「これは、どこの鳥居だろうか?」

と道ゆく人に聞いてみると、

春日大明神の鳥居ですと答えた。

鳥居の周辺には、何やら人が集って騒いでいる。

よくみると、その中に、

坊主頭の首を高々とさしあげている男がいた。

あの首は、一体誰のか、といって尋ねると、

「これは、平家の清盛公の首じゃ、

 あまりにも悪行が過ぎ、当社の大明神によって、

 召し捕られたのじゃ」

と答えるものがあった。

その声に重盛が、はっと思ったとき、目が覚めたのである。

しかし考えれば考えるほど、

近頃の平家一門の思いあがり振りが気になって、

中々寝つかれない。

そこへ、ほとほとと、

忍びやかに戸をたたく者があった。

こんな夜更けに一体誰が来たのかと思って尋ねると、

それは、

瀬尾太郎兼康《せのおのたろうかねやす》であった。

「今時分、一体何の用で?」

「されば、唯今、不思議な夢をみたもので、

 どうにも夜の明けるまで待っていられず、

 深夜と知りつつ参上仕りました。

何卒お人ばらいを」

兼康の真剣な顔つきから、

何事かを感じとった重盛は、人ばらいをしてから、

彼が見た夢の話を残らず聞いた。

それが驚いたことには、

重盛が見た夢と寸分も違わぬものであった。

重盛は、

今更に平家の行末に思いをはせて

深いため息をついたのである。

 

翌朝重盛が、

院の御所へ出勤する維盛を呼び寄せると、

「親の欲目ということがあるが、

 そなたは、わが息子どもの中では、

 とりわけできのよい子じゃ、ゆくゆく、

 人に抜きん出て出世もいたすであろう。

 しかし近頃の世の中の様子では、

 この先どんなことがあるかもわからぬのう、

 そなたも苦労するであろう、

 こら誰かおらぬか貞能はいないか? 

 少将に酒を」

といって酒が運ばれてくると、重盛が三度うけ、

続いて少将も三度飲み乾そうとしたとき、

重盛が、

「少将への引出物をこれへ」

 といった。

重盛の言葉に、

貞能がつと立って錦の袋に包んだ太刀を捧げ持ってきた。

維盛は、

すぐにそれが家の宝刀といわれる

小烏《こがらす》という太刀であることを知って、

内心喜びを押え切れず、膝を乗りだして押しいただくと、

さっと袋から取出した。

途端に維盛の顔色が変って青白くなった。

維盛は、

貞能の方を訊問《じんもん》するようににらみつけた。

それは、

小烏どころか大臣葬《だいじんそう》のとき使われる

無文の太刀だったからである。

重盛は、維盛のいきり立つのを片手で制しながら、

静かな口調でいった。

「そんなに怒るものではない、

 それは貞能が悪いのではない。

 この私の心遣いなのじゃ、

 そなたも一目でおわかりのはずじゃが、

 これは大臣葬の時用いる無文の太刀じゃ。

 清盛公に万一の時があったら、

 この重盛が着用に及ぶつもりで、持っていた物じゃ。

 今、入道殿に先立つ身の私としては不必要な品、

 これをそなたに譲ろうと思うのじゃよ」

人生の宿命を観じとった父重盛の言葉に、

維盛は返す言葉もなく涙ぐんでいた。

 このことがあってから、熊野詣でがあり、

重盛は間もなく帰らぬ人となったのである。

🌃🎼Memory of stars written by ハシマミ

 

平家物語69 平家物語 第3巻 灯篭〈とうろう〉】

生前から、来世の幸不幸を案じていた重盛は、

東山の麓に四十八|間《けん》の精舎を建て、

一間《いっけん》に一つずつ灯籠を置き、

毎月、十四日と十五日には、

容貌の優れた若い女房を集め、一間に六人ずつ、

四十八間に二百八十八人をあつめて、

念仏を称えさせた。

十五日の日中《ひなか》を満願とし、

大念仏を行ない、重盛自らもその列に加わって、

極楽往生を願うのであった。

重盛を灯籠大臣というのもここからきている。

🪷🎼風姿花伝 written by 落葉 剛

 

平家物語70 第3巻 金渡し】

安元の頃、重盛は、

九州から妙典《みょうでん》という船頭を呼び寄せ、

人払いして親しく目通りをしたことがある。

「お前の正直を信頼して頼みがある。

 ここに大枚三千五百両の金がある。

 五百両は、そなたの使いに対するほんの志じゃ、

 あとの三千両を持って宋へ渡り、

 一千両は育王山《いくおうざん》の僧に寄付し、

 二千両を宋の皇帝にお渡しして、

 この重盛の後世を弔って貰うよう、

 お頼みしてきてくれ」

妙典は、忠実に重盛の言葉を守り、宋に渡ると、

育王山の方丈、仏照禅師徳光に逢い、

重盛の言葉をつたえた。

禅師は、

はるばる万里の波濤を越えてやってきた

奇特な信仰心に感激し、二千両を皇帝に奉り、

事の子細を奏上すると、皇帝も喜んで、

五百町の田地を育王山に寄進した。

今日でも、育王山では未だに、

日本の大臣、平重盛の後世を弔っているという。

🪷🎼黄金金魚 written by こおろぎ

少納言のホームページ 源氏物語&古典 少納言の部屋 ぜひご覧ください🪷 https://syounagon.jimdosite.com