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いにしえの都の高貴なネコ様のつぶやき🌸

我は、いにしえの都の高貴なネコ様🐱マロン🍀 下僕1号👩 下僕2号👨‍💼と ゆるりと暮らしておる。そんな我のつぶやきである🐱💖 

【10分で聴く源氏物語 20帖 朝顔4】儚いのが人生であるからと源氏は思いながらも、源典侍が長生きをして 気楽に仏勤めして暮らしているのも仏のお教えになったこの世の相であると感じしんみりとしたby🐱

🌺【源氏物語636 第20帖 朝顔18】儚いのが人生であるからと源氏は思いながらも、源典侍が長生きをして 気楽に仏勤めして暮らしているのも仏のお教えになったこの世の相であると感じてしんみりとした。

〜「あのころのことは皆昔話になって、

 思い出してさえあまりに今と遠くて心細くなるばかりなのですが、

 うれしい方がおいでになりましたね。

 『親なしに臥《ふ》せる旅人』と思ってください」

 と言いながら、御簾のほうへからだを寄せる源氏に、

 典侍《ないしのすけ》はいっそう昔が帰って来た気がして、

 今も好色女らしく、

 歯の少なくなった曲がった口もとも想像される声で、

 甘えかかろうとしていた。

 

「とうとうこんなになってしまったじゃありませんか」

などとおくめんなしに言う。

今はじめて老衰にあったような口ぶりであるとおかしく源氏は思いながらも、

一面では哀れなことに予期もせず触れた気もした。

この女が若盛りのころの後宮《こうきゅう》の女御《にょご》、

更衣《こうい》はどうなったかというと、

みじめなふうになって生き長らえている人もあるであろうが大部分は故人である。

 

入道の宮などのお年はどうであろう、

この人の半分にも足らないでお崩《かく》れになったではないか、

はかないのが姿である人生であるからと源氏は思いながらも、

人格がいいともいえない、

ふしだらな女が長生きをして気楽に仏勤めをして暮らすようなことも

不定《ふじょう》と仏のお教えになったこの世の相であると、

こんなふうに感じて、

気分がしんみりとしてきたのを、

典侍は自身の魅力の反映が源氏に現われてきたものと解して、若々しく言う。

年経《ふ》れど この契りこそ 忘られね

親の親とか 言ひし一こと

源氏は悪感《おかん》を覚えて、

「身を変へて 後《あと》も待ち見よ この世にて

 親を忘るる ためしありやと

 頼もしい縁ですよ。そのうちにまた」

 と言って立ってしまった。

 

🌺【源氏物語637 第20帖 朝顔19】月が出て淡い雪の光といっしょになった夜の色が美しかった。源氏は、真剣なふうに恋を訴える。朝顔の姫君は年を重ねた今になって結婚は考えられないと思う。

〜西のほうはもう格子が下《お》ろしてあったが、

迷惑がるように思われてはと斟酌《しんしゃく》して

一間二間はそのままにしてあった。

月が出て淡い雪の光といっしょになった夜の色が美しかった。

今夜は真剣なふうに恋を訴える源氏であった。

 

「ただ一言、

 それは私を憎むということでも御自身のお口から聞かせてください。

 私はそれだけをしていただいただけで満足してあきらめようと思います」

熱情を見せてこう言うが、

女王《にょおう》は、自分も源氏もまだ若かった日、

源氏が今日のような複雑な係累もなくて、

どんなことも若さの咎《とが》で済む時代にも、

父宮などの希望された源氏との結婚問題を、

自分はその気になれずに否《いな》んでしまった。

ましてこんなに年が行って衰えた今になっては、

一言でも直接にものを言ったりすることは

恥ずかしくてできないとお思いになって、

だれが勧めてもそうしようとされないのを、

源氏は非常に恨めしく思った。

さすがに冷淡にはお取り扱いにはならないで、

人づてのお返辞はくださるというのであったから、

源氏は悶々《もんもん》とするばかりであった。

次第に夜がふけて、風の音もはげしくなる。

心細さに落ちる涙をぬぐいながら源氏は言う。

 

🌺【源氏物語638 第20帖 朝顔20】朝顔の姫君は、好意を見せても源氏の美貌だけを愛していると思われるのは嫌である。源氏を近づけることで この恋を源氏に看破されるのもつらくお思いになるのである。

〜「つれなさを 昔に懲りぬ 心こそ

 人のつらさに添へてつらけれ

 『心づから』

 (恋しさも心づからのものなれば置き所なくもてぞ煩ふ)苦しみます」

「あまりにお気の毒でございますから」

と言って、女房らが女王に返歌をされるように勧めた。

「改めて 何かは見えん 人の上に

 かかりと聞きし 心変はりを

 私はそうしたふうに変わっていきません」

と女房が斎院のお言葉を伝えた。

力の抜けた気がしながらも、

言うべきことは言い残して帰って行く源氏は、

自身がみじめに思われてならなかった。

 

「こんなことは愚かな男の例として

 噂《うわさ》にもなりそうなことですから人には言わないでください。

 『いさや川』

 (犬上《いぬがみ》のとこの山なるいさや川いさとこたへてわが名もらすな)

 などというのも恋の成り立った場合の歌で、ここへは引けませんね」

と言って源氏はなお女房たちに何事かを頼んで行った。

 

「もったいない気がしました。

 なぜああまで気強くなさるのでしょう。

 少し近くへお出ましになっても、まじめに求婚をしていらっしゃるだけですから、

 失礼なことなどの起こってくる気づかいはないでしょうのに、お気の毒な」

とあとで言う者もあった。

斎院は源氏の価値をよく知っておいでになって愛をお感じにならないのではないが、

好意を見せても源氏の外貌《がいぼう》だけを愛している一般の女と

同じに思われることはいやであると思っておいでになった。

接近させて下にかくしたこの恋を

源氏に看破されるのもつらく女王はお思いになるのである。

 

🌺【源氏物語639 第20帖 朝顔21】朝顔の姫君は、友情で書かれた手紙には友情でむくいることにして、御自身は神に奉仕していた間怠っていた仏勤めを、取り返しうるほどできる尼になりたいとお思いになった。

〜友情で書かれた手紙には友情で酬《むく》いることにして、

源氏が来れば人づてで話す程度のことにしたいとお思いになって、

御自身は神に奉仕していた間怠っていた仏勤めを、

取り返しうるほど

十分にできる尼になりたいとも願っておいでになるのであるが、

この際にわかにそうしたことをするのも源氏へ済まない、

反抗的の行為であるとも必ず言われるであろうと、

世間が作る噂というものの苦しさを経験されたお心からお思いになった。

女房たちが源氏に買収されてどんな行為をするかもしれぬという懸念から

女王はその人たちに対してもお気をお許しにならなかった。

そして追い追い宗教的な生活へ進んでお行きになるのであった。

女王は男の兄弟も幾人か持っておいでになるのであるが

同腹でなかったから親しんで来る者もない。

宮家の財政も心細くなった際に、

源氏が熱心な求婚者として出て来たのであるから、

女たちは一人残らず結婚の成り立つことばかりを祈っていた。

 

🌺【源氏物語640 第20帖 朝顔22】源氏が二条の院に寝ない夜も多くなったのを夫人は恨めしがっていた。悲しみをおさえる力も尽きることがあるわけである。源氏の前で涙のこぼれることもあった。

〜源氏はあながちにあせって結婚がしたいのではなかったが、

恋人の冷淡なのに負けてしまうのが残念でならなかった。

今日の源氏は最上の運に恵まれてはいるが、

昔よりはいろいろなことに経験を積んできていて、

今さら恋愛に没頭することの不可なことも、

世間から受ける批難も知っていながらしていることで、

これが成功しなければいよいよ不名誉であると信じて、

二条の院に寝ない夜も多くなったのを夫人は恨めしがっていた。

悲しみをおさえる力も尽きることがあるわけである。

源氏の前で涙のこぼれることもあった。

「なぜ機嫌《きげん》を悪くしているのですか、

 理由《わけ》がわからない」

と言いながら、額髪《ひたいがみ》を手で払ってやり、

憐んだ表情で夫人の顔を源氏がながめている様子などは、

絵に描《か》きたいほど美しい夫婦と見えた。

 

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