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いにしえの都の高貴なネコ様のつぶやき🌸

我は、いにしえの都の高貴なネコ様🐱マロン🍀 下僕1号👩 下僕2号👨‍💼と ゆるりと暮らしておる。そんな我のつぶやきである🐱💖 

【10分で聴く源氏物語 薄雲9完】源氏は、女御に「春と秋とどちらかお好きか」と尋ねる。女御は「秋が 亡くなった母(六条御息所)を思い出される時になっており 特別な気がする」とお答えになる。by🐱

🪷【源氏物語612 第19帖 薄雲43】源氏は、自分の望みは閑散な身になって 風流三昧の暮らしたいと言った。女御のお返事はおおようで、源氏の心それに惹きつけられてしまって、日の暮れるまでとどまっていた。

〜「今の私の望みは閑散な身になって

 風流三昧《ざんまい》に暮らしうることと、

 のちの世の勤めも十分にすることのほかはありませんが、

 この世の思い出になることを一つでも残すことのできないのは

 さすがに残念に思われます。

 ただ二人の子供がございますが、

 老い先ははるかで待ち遠しいものです。

 失礼ですがあなたの手でこの家の名誉をお上げくだすって、

 私の亡《な》くなりましたのちも

 私の子供らを護《まも》っておやりください」

などと言った。

宮のお返事はおおようで、

しかも一言をたいした努力でお言いになるほどのものであるが、

源氏の心はまったくそれに惹《ひ》きつけられてしまって、

日の暮れるまでとどまっていた。

 

🪷【源氏物語613 第19帖 薄雲44】源氏は、女御に「春と秋とどちらかお好きか」と尋ねる。女御は、「秋が 亡くなった母(六条御息所)を思い出される時になっており 特別な気がする」とお答えになる。

〜「人聞きのよい人生の望みなどはたいして持ちませんが、

 四季時々の美しい自然を生かせるようなことで、

 私は満足を得たいと思っています。

 春の花の咲く林、秋の野のながめを

 昔からいろいろに優劣が論ぜられていますが、

 道理だと思って、

 どちらかに加担のできるほどのことはまだだれにも言われておりません。

 支那《しな》では春の花の錦が最上のものに言われておりますし、

 日本の歌では秋の哀れが大事に取り扱われています。

 どちらもその時その時に感情が変わっていって、

 どれが最もよいとは私らに決められないのです。

 狭い邸《やしき》の中ででも、

 あるいは春の花の木をもっぱら集めて植えたり、

 秋草の花を多く作らせて、

 野に鳴く虫を放しておいたりする庭をこしらえて

 なたがたにお見せしたく思いますが、

 あなたはどちらがお好きですか、春と秋と」

源氏にこうお言われになった宮は、

返辞のしにくいことであるとはお思いになったが、

何も言わないことはよろしくないとお考えになって、

「私などはまして何もわかりはいたしませんで、

 いつも皆よろしいように思われますけれど、

 そのうちでも怪しいと申します夕べ

(いつとても恋しからずはあらねども秋の夕べは怪しかりけり)

 は私のためにも亡くなりました母の思い出される時になっておりまして、

 特別な気がいたします」

 

🪷【源氏物語614 第19帖 薄雲45】可憐な斎宮女御六条御息所の姫君)に源氏は思わず恋心を打ち明ける。女御は困惑して 柔らかにみじろぎをして少しずつあとへ引っ込んでお行きになる。

〜お言葉尻《じり》の

しどけなくなってしまう様子などの可憐《かれん》さに、

源氏は思わず規《のり》を越した言葉を口に出した。

「君もさは 哀れをかはせ 人知れず

 わが身にしむる秋の夕風

 忍びきれないおりおりがあるのです」

宮のお返辞のあるわけもない。

腑《ふ》に落ちないとお思いになるふうである。

いったんおさえたものが外へあふれ出たあとは、

その勢いで恋も恨みも源氏の口をついて出てきた。

それ以上にも事を進ませる可能性はあったが、

宮があまりにもあきれてお思いになる様子の見えるのも

道理に思われたし、

自身の心もけしからぬことであると思い返されもして

源氏はただ歎息《たんそく》をしていた。

艶《えん》な姿ももう宮のお目にはうとましいものにばかり見えた。

柔らかにみじろぎをして

少しずつあとへ引っ込んでお行きになるのを知って、

「そんなに私が不愉快なものに思われますか、

 高尚《こうしょう》な貴女《きじょ》は

 そんなにしてお見せになるものではありませんよ。

 ではもうあんなお話はよしましょうね。

 これから私をお憎みになってはいけませんよ」

と言って源氏は立ち去った。

しめやかな源氏の衣服の香の座敷に残っていることすらを

宮は情けなくお思いになった。

女房たちが出て来て格子《こうし》などを閉めたあとで、

「このお敷き物の移り香の結構ですこと、

 どうしてあの方はこんなにすべてのよいものを

 備えておいでになるのでしょう。

 柳の枝に桜を咲かせたというのはあの方ね。

 どんな前生《ぜんしょう》をお持ちになる方でしょう」

などと言い合っていた。

 

🪷【源氏物語615 第19帖 薄雲46】源氏は、思ってはならぬ人に恋をし、悲しみに胸のふさがるような癖が まだ自分には残っているのでないかと思われたが、年が行けば分別ができるものであるとも悟った。

〜西の対に帰った源氏は

すぐにも寝室へはいらずに物思わしいふうで庭をながめながら、

端の座敷にからだを横たえていた。

燈籠《とうろう》を少し遠くへ掛けさせ、

女房たちをそばに置いて話をさせなどしているのであった。

思ってはならぬ人が恋しくなって、

悲しみに胸のふさがるような癖が

まだ自分には残っているのでないかと、

源氏は自身のことながらも思われた。

これはまったく似合わしからぬ恋である、

おそろしい罪であることは

これ以上であるかもしれぬが若き日の過失は、

思慮の足らないためと神仏もお許しになったのであろう、

今もまたその罪を犯してはならないと、

源氏はみずから思われてきたことによって、

年が行けば分別ができるものであるとも悟った。

王女御は

身にしむ秋というものを理解したふうにお返辞をされたことすら

お悔やみになった。

恥ずかしく苦しくて、

無気味で病気のようになっておいでになるのを、

源氏は素知らぬふうで平生以上に親らしく世話などやいていた。

 

🪷【源氏物語616 第19帖 薄雲47】源氏は紫の上に「女御の秋がよいとお言いになるのにも同情されるし、貴方が春が好きなことにも私は喜びを感じる。季節季節の草木で貴方方を楽しませたい」と語っていた。

〜源氏は夫人に、

「女御の秋がよいとお言いになるのにも同情されるし、

 あなたの春が好きなことにも私は喜びを感じる。

 季節季節の草木だけででも気に入った享楽を

 あなたがたにさせたい。

 いろいろの仕事を多く持っていて

 はそんなことも望みどおりにはできないから、

 早く出家が遂げたいものの、

 あなたの寂しくなることが思われてそれも実現難になりますよ」

などと語っていた。

 

🪷【源氏物語617 第19帖 薄雲48】源氏は 明石の上の事が気になりながらも 位が上がり窮屈な立場になったため 通うのが困難になったが 例の嵯峨の御堂の不断の念仏に託して山荘を訪ねた。

〜大井の山荘の人も

どうしているかと絶えず源氏は思いやっているが、

ますます窮屈な位置に押し上げられてしまった今では、

通って行くことが困難にばかりなった。

悲観的に人生を見るようになった明石《あかし》を、

源氏はそうした寂しい思いをするのも心がらである、

自分の勧めに従って町へ出て来ればよいのであるが、

他の夫人たちといっしょに住むのがいやだと思うような

思い上がりすぎたところがあるからであると見ながらも、

また哀れで、

例の嵯峨《さが》の御堂の不断の念仏に託して

山荘を訪《たず》ねた。

 

🪷【源氏物語618 第19帖 薄雲49 完】源氏は 明石の上を慰めた。少し暇のできたころであったから、御堂の仏勤めにも没頭することができて、二、三日源氏が山荘に滞在でき 明石の気持ちも慰められた。

〜住み馴れるにしたがって

ますます凄い気のする山荘に待つ恋人などというものは、

この源氏ほどの深い愛情を持たない相手をも

引きつける力があるであろうと思われる。

ましてたまさかに逢えたことで、

恨めしい因縁のさすがに浅くないことも思って歎く女は

どう取り扱っていいかと、

源氏は力限りの愛撫を試みて慰めるばかりであった。

 

木の繁《しげ》った中からさす篝《かがり》の光が

流れの蛍と同じように見える庭もおもしろかった。

「過去に寂しい生活の経験をしていなかったら、

 私もこの山荘で逢うことが心細くばかり思われることだろう」

と源氏が言うと、

「いさりせし かげ忘られぬ 篝火《かがりび》は

 身のうき船や 慕ひ来にけん

あちらの景色によく似ております。

不幸な者につきもののような灯影《ほかげ》でございます」

と明石が言った。

「浅からぬ 下の思ひを知らねばや

 なほ篝火の 影は騒げる

だれが私の人生観を悲しいものにさせたのだろう」

と源氏のほうからも恨みを言った。

少し閑暇《ひま》のできたころであったから、

御堂《みどう》の仏勤めにも没頭することができて、

二、三日源氏が山荘にとどまっていることで

女は少し慰められたはずである。

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