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いにしえの都の高貴なネコ様のつぶやき🌸

我は、いにしえの都の高貴なネコ様🐱マロン🍀 下僕1号👩 下僕2号👨‍💼と ゆるりと暮らしておる。そんな我のつぶやきである🐱💖 

【🌹10分で聴く源氏物語 第4帖 夕顔7】夕顔の亡骸は、残酷に思われるような扱い方を遠慮して、確かにも巻かなんだから、ござの横から髪が少しこぼれていた。それを見た源氏は慟哭する‥これは辛い‥by 😿

🌸夕顔の亡骸を東山に移す【源氏物語 47 第4帖 夕顔13】

灯はほのかに瞬《またた》いて、

中央の室との仕切りの所に立てた屏風の上とか、

室の中の隅々《すみずみ》とか、

暗いところの見えるここへ、

後ろからひしひしと足音をさせて

何かが寄って来る気がしてならない、

惟光が早く来てくれればよいとばかり源氏は思った。

彼は泊まり歩く家を幾軒も持った男であったから、

使いはあちらこちらと尋ねまわっているうちに

夜がぼつぼつ明けてきた。

この間の長さは千夜にもあたるように源氏には思われたのである。

 

やっとはるかな所で鳴く鶏の声がしてきたのを聞いて、

ほっとした源氏は、

こんな危険な目にどうして自分はあうのだろう、

自分の心ではあるが恋愛についてはもったいない、

思うべからざる人を思った報いに、

こんな後《あと》にも前《さき》にもない例となるような

みじめな目にあうのであろう、

隠してもあった事実はすぐに噂になるであろう、

陛下の思召しをはじめとして人が何と批評することだろう、

世間の嘲笑が自分の上に集まることであろう、

とうとうついにこんなことで

自分は名誉を傷つけるのだなと源氏は思っていた。

 

やっと惟光《これみつ》が出て来た。

夜中でも暁でも源氏の意のままに従って歩いた男が、

今夜に限ってそばにおらず、呼びにやってもすぐの間に合わず、

時間のおくれたことを源氏は憎みながらも寝室へ呼んだ。

孤独の悲しみを救う手は惟光にだけあることを源氏は知っている。

惟光をそばへ呼んだが、

自分が今言わねばならぬことが

あまりにも悲しいものであることを思うと、

急には言葉が出ない。 右近は隣家の惟光が来た気配に、

亡き夫人と源氏との交渉の最初の時から今日までが

連続的に思い出されて泣いていた。

 

源氏も今までは自身一人が強い人になって

右近を抱きかかえていたのであったが、

惟光の来たのにほっとすると同時に、

はじめて心の底から大きい悲しみが湧き上がってきた。

非常に泣いたのちに源氏は躊躇しながら言い出した。

「奇怪なことが起こったのだ。

 驚くという言葉では現わせないような驚きをさせられた。

 人のからだにこんな急変があったりする時には、

 僧家へ物を贈って読経《どきょう》をしてもらうものだそうだから、

 それをさせよう、願を立てさせようと思って

 阿闍梨あじゃり》も来てくれと言ってやったのだが、どうした」

 

「昨日 叡山《えいざん》へ帰りましたのでございます。

 まあ何ということでございましょう、奇怪なことでございます。

 前から少しはおからだが悪かったのでございますか」

「そんなこともなかった」

と言って泣く源氏の様子に、

惟光も感動させられて、

この人までが声を立てて泣き出した。

老人はめんどうなものとされているが、 こんな場合には、

年を取っていて世の中のいろいろな経験を持っている人が

頼もしいのである 。

源氏も右近も惟光も皆若かった。

どう処置をしていいのか手が出ないのであったが、

やっと惟光が、

「この院の留守役などに真相を知らせることはよくございません。

 当人だけは信用ができましても、

 秘密のもれやすい家族を持っていましょうから。

 ともかくもここを出ていらっしゃいませ」

と言った。

 

「でもここ以上に人の少ない場所はほかにないじゃないか」

「それはそうでございます。

 あの五条の家は女房などが悲しがって大騒ぎをするでしょう、

 多い小家の近所隣へそんな声が聞こえますと

 たちまち世間へ知れてしまいます、

 山寺と申すものは

 こうした死人などを取り扱いなれておりましょうから、

 人目を紛らすのには都合がよいように思われます」

考えるふうだった惟光は、

「昔知っております女房が

 尼になって住んでいる家が 東山にございますから、

 そこへお移しいたしましょう。

 私の父の乳母《めのと》をしておりまして、

 今は老人《としより》になっている者の家でございます。

 東山ですから人がたくさん行く所のようではございますが、

 そこだけは閑静です」

と言って、

夜と朝の入り替わる時刻の明暗の紛れに車を縁側へ寄せさせた。

 

🌸頭中将の見舞いを受ける【源氏物語 48 第4帖 夕顔14】

源氏自身が遺骸《いがい》を車へ載せることは無理らしかったから、

ござ に巻いて惟光《これみつ》が車へ載せた。

小柄な人の死骸からは

悪感は受けないできわめて美しいものに思われた。

残酷に思われるような扱い方を遠慮して、

確かにも巻かなんだから、

茣蓙ござの横から髪が少しこぼれていた。

それを見た源氏は

目がくらむような悲しみを覚えて煙になる最後までも

自分がついていたいという気になったのであるが、

「あなた様はさっそく二条の院へお帰りなさいませ。

 世間の者が起き出しませんうちに」  

と惟光は言って、遺骸には右近を添えて乗せた。

 

自身の馬を源氏に提供して、自身は徒歩で、

袴《はかま》のくくりを上げたりして出かけたのであった。

ずいぶん迷惑な役のようにも思われたが、

悲しんでいる源氏を見ては、

自分のことなどはどうでもよいという気に惟光はなったのである。

 

源氏は無我夢中で二条の院へ着いた。

女房たちが、

「どちらからのお帰りなんでしょう。御気分がお悪いようですよ」

などと言っているのを知っていたが、そのまま寝室へはいって、

そして胸をおさえて考えてみると自身が今経験していることは

非常な悲しいことであるということがわかった。

なぜ自分はあの車に乗って行かなかったのだろう、

もし蘇生《そせい》することがあったらあの人はどう思うだろう、

見捨てて行ってしまったと恨めしく思わないだろうか、

こんなことを思うと胸がせき上がってくるようで、頭も痛く、

からだには発熱も感ぜられて苦しい。

こうして自分も死んでしまうのであろうと思われるのである。

八時ごろになっても源氏が起きぬので、

女房たちは心配をしだして、

朝の食事を寝室の主人へ勧めてみたが無駄だった。

源氏は苦しくて、

そして生命の危険が迫ってくるような心細さを覚えていると、

宮中のお使いが来た。

帝は昨日もお召しになった源氏を御覧になれなかったことで

御心配をあそばされるのであった。

 

左大臣家の子息たちも訪問して来たが そのうちの頭中将にだけ、

「お立ちになったままでちょっとこちらへ」

と言わせて、

源氏は招いた友と御簾《みす》を隔てて対した。

「私の乳母の、この五月ごろから大病をしていました者が、

 尼になったりなどしたものですから、 その効験《ききめ》でか

 一時|快《よ》くなっていましたが、

 またこのごろ悪くなりまして、

 生前にもう一度だけ訪問をしてくれなどと言ってきているので、

 小さい時から世話になった者に、

 最後に恨めしく思わせるのは残酷だと思って、

 訪問しましたところがその家の召使の男が前から病気をしていて、

 私のいるうちに亡くなったのです。

 恐縮して私に隠して夜になってから

 そっと遺骸を外へ運び出したということを

 私は気がついたのです。

 御所では神事に関した御用の多い時期ですから、

 そうした穢れに触れた者は御遠慮すべきであると思って

 謹慎をしているのです。

 それに今朝方からなんだか 風邪にかかったのですか、

 頭痛がして苦しいものですからこんなふうで失礼します」

などと源氏は言うのであった。

中将は、

「ではそのように奏上しておきましょう。

 昨夜も音楽のありました時に、

 御自身でお指図をなさいまして

 あちこちとあなたをお捜させになったのですが、

 おいでにならなかったので、

 御機嫌がよろしくありませんでした」

と言って、

帰ろうとしたがまた帰って来て、

「ねえ、どんな穢《けが》れにおあいになったのですか。

 さっきから伺ったのはどうもほんとうとは思われない」

と、頭中将から言われた源氏ははっとした。

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