google.com, pub-8944455872984568, DIRECT, f08c47fec0942fa0

いにしえの都の高貴なネコ様のつぶやき🌸

我は、いにしえの都の高貴なネコ様🐱マロン🍀 下僕1号👩 下僕2号👨‍💼と ゆるりと暮らしておる。そんな我のつぶやきである🐱💖 

【🌊10分で聴く平家物語49 第4巻完】🏹鵺〈ぬえ〉①②🔥三井寺炎上〜頼政殿の鵺〈ぬえ〉退治🐒🐅🐍 見事なり✨そして、三井寺炎上‥大切な人の命も家も、尊い経も堂舎塔廟も灰燼に帰す‥なんてこと by😿

平家物語109 第4巻 鵺〈ぬえ〉①】

源三位入道頼政は、

摂津守頼光から五代目の子孫三河守頼綱の孫、

兵庫頭《ひょうごのかみ》仲政の子である。

保元の合戦のとき朝廷側につきさきがけしたが別に恩賞はなく、

平治の乱においても親類などを捨てて合戦に力をつくしたが、

みるべき恩賞は与えられなかった。

大内守護として長年勤めていたが、

昇殿は許されなかったのである。年すでに老いた時、

一首の歌を詠んだ。

『人知れぬ大内山の山守は

  木《こ》がくれてのみ月を見るかな』

この歌が目にとまり昇殿を許されたうえに、

正下四位を与えられたが、

頼政はさらに三位の位にのぞみをかけた。

『昇るべきたよりなき身は木《こ》の下《した》に

  しいを拾いて世をわたるかな』

そして念願の三位に進み、

出家したので三位入道頼政といわれたが、

時に七十五歳である。

 この頼政には特に有名な手柄があった。

仁平の頃、近衛院が位にあった時のことである。

天皇は毎夜うなされ、おびえ続けていた。

高僧貴僧が命じられて大法秘法を徹宵行ったが

その効験は見えない。

天皇は毎夜およそ午前二時頃、

東三条の森の方角から黒雲が、

ひとむら湧き起り恐しい早さで飛来して御殿の上を蔽うと、

ひどく苦しまれるのであった。

 高僧たちの修法はさっぱりと験《しるし》がなく、

天皇の毎夜の苦しみは

一向になくならぬのにあわてた公卿たちは、

深刻な顔で会議を開いた。

席上、昔の話が出て、

堀川天皇が夜なよなおびえられたことがあったが、

時の将軍源義家朝臣は南殿に宿直《とのい》しており、

御悩みの刻限にいたるや弓弦を三度響きわたらせると、

高声で、

「前陸奥守《さきのむつのかみ》源義家

と名乗ると、

弓勢に劣らぬ裂帛《れっぱく》の気勢は聞く者の身が総毛立ち、

天皇の苦しみも俄かに軽くなったという、

との意見があった。

しからばこの先例によるべしと、

武士の警固が行なわれることになった。

源平より選ばれた中に頼政も入っていたが、

この時まだ兵庫頭であった。

「宮中に武士をおくのは、反逆のものを退け、

 勅に背くものを追討するのを本務とする。

 目に見えぬ化性の退治とはまだ聞き及ばぬこと」

と極めて不服そうであったが、

勅命とあらばいたし方なく参内した。

 頼政はかねて信頼をよせている郎党、

遠江国の住人|猪早太《いのはやた》ただ一人を連れた。

この男に鷹の羽の矢を持たせ、

自分は二重《ふたえ》の狩衣、

山鳥の尾ではいだ鋒矢《とがりや》を二本、

重籐《しげとう》の弓を持った。

この鋒矢二本というのは、

雅頼弁《がらいのべん》という公卿が

変化《へんげ》のものを退治るのは頼政であろうといったので、

もし一本で妖魔を射損じたなら、

残る矢であの雅頼弁の細首を射抜こうと決意したものであった。

🌉🎼#百鬼夜行 written by #のる

 

平家物語110 第四巻 鵺〈ぬえ〉②】

南殿にきた頼政は、

猪早太をかたわらに控えさせると空を仰いだ。

静かに晴れた夜空である。

変化飛来の噂など信じかねる穏かな夜であった。

変化退散の仕事は僧侶にあるはずだ、弓矢とるこの身は、

などと頼政の心中には恐らく不平が渦巻いていたであろう。

夜は更けていった。

午前二時近くか、風のないのに木々の梢が立ち騒ぐ。

俄かにきっとなって御殿の上を仰いだ頼政の顔は蒼白かった。

噂にたがわぬ黒雲ひとむら三条の森から飛び来り、

ぴたりと御殿の空を蔽う。

鋒矢弓につがえて黒雲を凝視すれば、

その中程あたりに怪しき物の姿が隠顕する。

灯のもれる主上の室ではお苦しみの声が高まるような気がする。

やがて物音は絶えた。

陰鬱な風が音もなく頼政の衣を吹きぬけたとも思えた。

かっと見開いた頼政の目に

化性のおぼろな姿が次第に輪郭をとってきた。

射損じたらわが命はないであろう。

彼の弓は満月のように引きしぼられた。

南無八幡大菩薩、と心に唱えれば鋒矢は弦を離れた。

弦が鋭く鳴った。

黒雲の中に目にも止まらず吸いこまれて行く鋒矢が消えたとみるや、

一声異様な叫びがひびき、どうと地に落ちてきたものがある。

してやったりと叫んだのは頼政である。

ぱっと走り寄った猪早太、

もがく化性のものをおさえるや刀で柄も通れと突き刺した。

一度、二度、早太の刀は九度まで獲物を貫いた。

頼政仕止めたり」

 の高らかな声に、

人々は手に手に炬火《かがりび》を持って駆けよってきた。

恐るおそる眺めると、見たこともない異形の化物である。

頭は猿、胴は狸、尾は蛇であり、四つ足は虎の如く、

鳴く声は鵺《ぬえ》に似ていた。

 御悩み快癒された天皇は、

喜びのあまり獅子王《ししおう》という剣を頼政に賜った。

宇治左大臣頼長がこれを頂いて御前の階段を半ばまで降りたとき、

ほととぎすが鳴いて空を渡った。

頼長は、しばらく足を止めたが、

『ほととぎす名をも雲居にあぐるかな』

と突然詠みかけた。

皇居の空に名をとどろかした頼政をほととぎすにかけたのである。

これを聞くと頼政、つと右膝をつき、

左の袖をひろげると月を斜めに見上げた。

『弓張月のいるにまかせて』

とよどみなく下を詠む。

月にかけたまことに謙虚な態度である。

居あわす人々は文武にすぐれた頼政に感動したのであった。

 また応保の頃、二条院が位にあったとき、

鵺という怪鳥が宮廷で鳴き、天皇をひどく悩ましたことがあった。

再び頼政が召された。

時五月二十日すぎの夜、ぬばたまの闇である。

弓を持った頼政が久しく待つと、鵺は一声高く鳴いた。

所在を確めようと空を見上げたが鵺は二度と鳴かなかった。

御殿の屋根さえ夜空に溶けこむ闇夜である。

さすがの頼政も弱ったが、

やがて肯くと鏑矢《かぶらや》を弓につがえた。

先程鳴いたと覚しき闇空にひょうと放った。

うなりをあげて飛ぶ鏑矢に驚いたか、

果して鵺は高く鳴いて飛びあがる。

間髪を入れず頼政の弦から小鏑矢が鋭い音をひいて飛べば、

鵺はばったり落ちる。

どっと歓声が宮中にわいた。

天皇は大層喜ばれて頼政に御衣を賜ったが、

彼の肩に御衣を着せた大炊御門公能《おおいのみかどのきんよし》は、

『五月《さつき》やみ名をあらわせるこよいかな』

と詠みかけた。

『たそがれ時も過ぎぬと思うに』

 こう答えたのは頼政である。

歌にもすぐれていた彼の面影を伝えるものであろう。

 頼政はその後伊豆国を賜わり、

その子仲綱を伊豆の受領《ずりょう》として自分は三位にのぼり、

丹波国の五箇の荘、若狭の東宮川《とうみやがわ》などを所領として、

誰もが晩年は安らかに過すと思っていたが、

このたびの謀叛で自分も子孫も亡ぼしてしまったのである。

🏹🎼#大妖 written by #藍舟  

 

平家物語111 第四巻完 三井寺炎上】

 五月二十七日、三井寺攻略の軍が起された。

奈良興福寺三井寺互に呼応して謀叛の宮を受け入れ、

あるいは武装して出迎えるなど、

これは朝敵の行為であると平家は断じ、

共に討つべしとの声が高まったが、

まず三井寺からと軍が編成された。

大将軍は頭中将重衡、副将軍に薩摩守忠度

その勢合せて一万余騎、三井寺向って進発した。

寺の衆徒一千余人、死を決してこれを迎えた。

逆木《さかもぎ》を設け、関所を数多くつくった。

戦は朝六時から矢合せで始められ、

十分の一の小勢ながら死物狂いで防戦する三井寺の衆徒に

平家も手をやいた。

日が暮れ夜に入っても戦は激しくなるばかり、

すでに三百余人が討死した寺側の

防備のうすいところを狙って夜襲を敢行した攻略軍は、

遂に寺に攻めこんだ。

寄手の兵が寺の坊という坊に火を放ち始めれば、

たちまち三井寺は巨大な焔に包まれた。

生き残った衆徒は四散し、

寺の火災はいつ止むとも知らなかった。

 これで灰燼《かいじん》に帰したのは、

本覚院、成喜院《じょうきいん》、真如院、鐘楼、

護法善神の社壇、新熊野の宝殿など、

もろもろの堂舎塔廟六百三十七むね、

それに大津の民家一千八百五十三家、

この火災で智証大師が唐からたずさえた所の一切経七千余巻、

仏像二千余体は灰となった。

 三井寺天智天皇御願寺《ごがんじ》、

その後智証大師がここを伝法|灌頂《かんじょう》の霊所として

園城寺《おんじょうじ》を建てた尊い場所である。

が、今はもう焼跡しかない。

修行の鈴の音も絶え、仏前にそなえる水を汲む人影もない。

三井寺の首長円慶法親王別当を免ぜられ、

役僧も免官、堂衆三十四人は流罪に処せられた。

 このような国土の騒ぎ、天下の乱れはただごととは思われない。

平家の世も末になる前兆か、

と人々はひそかに噂し合っているが、

噂はもう高声で話される始末である。

🔥🎼#大河 written by #伊藤ケイスケ  

少納言のホームページ 源氏物語&古典 少納言の部屋 ぜひご覧ください🪷 https://syounagon.jimdosite.com