2024-07-23から1日間の記事一覧
【私本太平記 藤夜叉①〈ふじやしゃ〉】 ——夜《よ》は夜《よる》を新たにして。 と昼間、道誉が言った。 いかにもばさらないい方で彼らしい言と思われたが、 約束のごとくその晩、 城内の的場から武者廂までを容れた俄舞台と桟敷で、 新座の花夜叉一座の、田…
【平家物語112 第5巻 都うつり①】 京都の街は公卿も庶民も動揺した。 治承四年六月三日の日、天皇は福原へ行幸し、 都うつりさせ給うとのことである。 都うつりの噂はかねて流れてはいたが、 まだまだ先のことであると人々は思っていた。 それが三日ときまっ…
【平家物語109 第4巻 鵺〈ぬえ〉①】 源三位入道頼政は、 摂津守頼光から五代目の子孫三河守頼綱の孫、 兵庫頭《ひょうごのかみ》仲政の子である。 保元の合戦のとき朝廷側につきさきがけしたが別に恩賞はなく、 平治の乱においても親類などを捨てて合戦に力…