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いにしえの都の高貴なネコ様のつぶやき🌸

我は、いにしえの都の高貴なネコ様🐱マロン🍀 下僕1号👩 下僕2号👨‍💼と ゆるりと暮らしておる。そんな我のつぶやきである🐱💖 

【🌹10分で聴く源氏物語 第2帖 帚木7〈ははきぎ〉】光源氏君よ‥方違え先の人妻に手を出して何しとんねん😓反省する姿も見られるが 人妻に抗議されて恋心燃え上がってるし‥最近の若いもんは💢by😾

 

🌺【源氏物語 26 第2帖 箒木15】

「違うわけがないじゃありませんか。

 恋する人の直覚であなただと思って来たのに、

 あなたは知らぬ顔をなさるのだ。

 普通の好色者がするような失礼を私はしません。

 少しだけ私の心を聞いていただけばそれでよいのです」

と言って、

小柄な人であったから、

片手で抱いて以前の襖子《からかみ》の所へ出て来ると、

さっき呼ばれていた中将らしい女房が向こうから来た。

 

「ちょいと」

と源氏が言ったので、不思議がって探り寄って来る時に、

薫《た》き込めた源氏の衣服の香が顔に吹き寄ってきた。

中将は、これがだれであるかも、何であるかもわかった。

情けなくて、どうなることかと心配でならないが、

何とも異論のはさみようがない。

並み並みの男であったなら

できるだけの力の抵抗もしてみるはずであるが、

しかもそれだって荒だてて多数の人に知らせることは

夫人の不名誉になることであって、

しないほうがよいのかもしれない。

こう思って胸をとどろかせながら従ってきたが、

源氏の中将はこの中将をまったく無視していた。

初めの座敷へ抱いて行って女をおろして、

それから襖子をしめて、

「夜明けにお迎えに来るがいい」

と言った。

中将はどう思うであろうと、

女はそれを聞いただけでも死ぬほどの苦痛を味わった。

流れるほどの汗になって悩ましそうな女に 同情は覚えながら、

女に対する例の誠実な調子で、

女の心が当然動くはずだと思われるほどに言っても、

女は人間の掟《おきて》に許されていない恋に共鳴してこない。

 

「こんな御無理を承ることが現実のことであろうとは思われません。

 卑しい私ですが、

 軽蔑《けいべつ》してもよいものだという

 あなたのお心持ちを私は深くお恨みに思います。

 私たちの階級とあなた様たちの階級とは、

 遠く離れて別々のものなのです」

こう言って、

強さで自分を征服しようとしている男を憎いと思う様子は、

源氏を十分に反省さす力があった。

 

「私はまだ女性に階級のあることも何も知らない。

 はじめての経験なんです。

 普通の多情な男のようにお取り扱いになるのを恨めしく思います。

 あなたの耳にも自然はいっているでしょう、

 むやみな恋の冒険などを私はしたこともありません。

 それにもかかわらず前生の因縁は大きな力があって、

 私をあなたに近づけて、

 そしてあなたからこんなにはずかしめられています。

 ごもっともだとあなたになって考えれば考えられますが、

 そんなことをするまでに私はこの恋に盲目になっています」

まじめになっていろいろと源氏は説くが、

女の冷ややかな態度は変わっていくけしきもない。

女は、一世の美男であればあるほど、

この人の恋人になって安んじている自分にはなれない、

冷血的な女だと思われてやむのが望みであると考えて、

きわめて弱い人が 強さをしいてつけているのは弱竹《なよたけ》のようで、

さすがに折ることはできなかった。

 

真からあさましいことだと思うふうに泣く様子などが

可憐《かれん》であった。

気の毒ではあるがこのままで別れたら

のちのちまでも後悔が自分を苦しめるであろうと

源氏は思ったのであった。

もうどんなに勝手な考え方をしても

救われない過失をしてしまったと、

女の悲しんでいるのを見て、

「なぜそんなに私が憎くばかり思われるのですか。

 お嬢さんか何かのようにあなたの悲しむのが恨めしい」

と、源氏が言うと、

「私の運命がまだ私を人妻にしません時、

 親の家の娘でございました時に、

 こうしたあなたの熱情で思われましたのなら、

 それは私の迷いであっても、

 他日に光明のあるようなことも思ったでございましょうが、

 もう何もだめでございます。

 私には恋も何もいりません。

 ですからせめてなかったことだと思ってしまってください」

と言う。

悲しみに沈んでいる女を源氏ももっともだと思った。

真心から慰めの言葉を発しているのであった。

 

🌺【源氏物語 27 第2帖 箒木16】

鶏《とり》の声がしてきた。家従たちも起きて、

「寝坊をしたものだ。早くお車の用意をせい」

そんな命令も下していた。

「女の家へ方違《かたたが》えにおいでになった場合とは違いますよ。

 早くお帰りになる必要は少しもないじゃありませんか」

と言っているのは紀伊守であった。

源氏は もうまたこんな機会が作り出せそうでないことと、

今後どうして文通をすればよいか,

どうもそれが不可能らしいことで胸を痛くしていた。

女を行かせようとしてもまた引き留める源氏であった。

「どうしてあなたと通信をしたらいいでしょう。

 あくまで冷淡なあなたへの恨みも、恋も、一通りでない私が、

 今夜のことだけを いつまでも泣いて思っていなければならないのですか」

 泣いている源氏が非常に艶《えん》に見えた。

何度も鶏《とり》が鳴いた。

『つれなさを 恨みもはてぬ しののめに

 とりあへぬまで 驚かすらん』  

あわただしい心持ちで源氏はこうささやいた。

女は己を省みると、

不似合いという晴がましさを感ぜずにいられない源氏から

どんなに熱情的に思われても、

これをうれしいこととすることができないのである。

それに自分としては愛情の持てない夫のいる 伊予の国が思われて、

こんな夢を見てはいないだろうかと考えると恐ろしかった。

『身の憂《う》さを 歎《なげ》くにあかで 明くる夜は

 とり重ねても 音《ね》ぞ泣かれける』

と言った。

 

ずんずん明るくなってゆく。

女は襖子《からかみ》の所へまで送って行った。

奥のほうの人も、

こちらの縁のほうの人も起き出して来たんでざわついた。

襖子をしめてもとの席へ帰って行く源氏は、

一重の襖子が越えがたい隔ての関のように思われた。

直衣などを着て、

姿を整えた源氏が縁側の高欄《こうらん》によりかかっているのが、

隣室の縁低い衝立《ついたて》の上のほうから見えるのをのぞいて、

源氏の美の放つ光が身の中へしみ通るように思っている女房もあった。

残月のあるころで 落ち着いた空の明かりが物をさわやかに照らしていた。

変わったおもしろい夏の曙《あけぼの》である。

だれも知らぬ物思いを、心に抱いた源氏であるから、

主観的にひどく身にしむ夜明けの風景だと思った。

言《こと》づて一つする便宜がないではないかと思って 

顧みがちに去った。

 

家へ帰ってからも源氏はすぐに眠ることができなかった。

再会の至難である悲しみだけを自分はしているが、

自由な男でない人妻のあの人は

このほかにもいろいろな煩悶《はんもん》があるはずであると

思いやっていた。

すぐれた女ではないが、感じのよさを十分に備えた中の品だ。

だから多くの経験を持った男の言うことには敬服される点があると、

品定めの夜の話を思い出していた。

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