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いにしえの都の高貴なネコ様のつぶやき🌸

我は、いにしえの都の高貴なネコ様🐱マロン🍀 下僕1号👩 下僕2号👨‍💼と ゆるりと暮らしておる。そんな我のつぶやきである🐱💖 

【10分で聴く源氏物語 第9帖 葵9】悲しみにくれる源氏。自分を哀れに思ってくれるであろうという頼みがあって朝顔の姫君に手紙を書いた。左大臣家で葵の上の思い出を共有する。失って分かる大切な人by😿

🌼【源氏物語166 第九帖 葵39】源氏の美しさに 先だって死んだ場合に女の魂は離れていくまいと中将は思った。

「相逢相失両如夢《あひあひあひうしなふふたつながらゆめのごとし》

 為雨為雲今不知《あめとやなるくもとやなるいまはしらず》

と口ずさみながら頬杖《ほおづえ》をついた源氏を、

女であれば先だって死んだ場合に魂は必ず離れて行くまいと

好色な心に中将を思って、

じっとながめながら近づいて来て一礼してすわった。

 

源氏は打ち解けた姿でいたのであるが、

客に敬意を表するために、

直衣の紐《ひも》だけは掛けた。

源氏のほうは中将よりも少し濃い鈍色に

きれいな色の紅の単衣を重ねていた。

こうした喪服姿はきわめて艶《えん》である。

 

中将も悲しい目つきで庭のほうをながめていた。

雨となり しぐるる空の 浮き雲を

いづれの方と分《わ》きてながめん

どこだかわからない。

と独言《ひとりごと》のように言っているのに

源氏は答えて

見し人の 雨となりにし 雲井さへ

いとど時雨《しぐれ》に 掻《か》きくらす頃

というのに、

故人を悲しむ心の深さが見えるのである。

 

中将はこれまで、院の思召《おぼしめ》しと、

父の大臣の好意、母宮の叔母君である関係、

そんなものが源氏をここに引き止めているだけで、

妹を熱愛するとは見えなかった、

自分はそれに同情も表していたつもりであるが、

表面とは違った動かぬ愛を

妻に持っていた源氏であったのだと

この時はじめて気がついた。

それによってまた妹の死が惜しまれた。

 

🌼【源氏物語167 第九帖 葵40】左大臣家は光を失ったようである。

ただ一人の人がいなくなっただけであるが、

家の中の光明をことごとく失ったように

だれもこのごろは思っているのである。

源氏は枯れた植え込みの草の中に

竜胆《りんどう》や撫子《なでしこ》の咲いているのを見て、

折らせたのを、中将が帰ったあとで、

若君の乳母《めのと》の宰相の君を使いにして、

宮様のお居間へ持たせてやった。

草枯れの 籬《まがき》に残る 撫子を

別れし秋の 形見とぞ見る

この花は比較にならないものと

あなた様のお目には見えるでございましょう。

こう挨拶をさせたのである。

撫子にたとえられた幼児はほんとうに花のようであった。

宮様の涙は風の音にも木の葉より早く散るころであるから、

まして源氏の歌はお心を動かした。

今も見て なかなか袖を 濡らすかな

垣《かき》ほあれにし やまと撫子  

というお返辞があった。

 

🌼朝顔の女王に手紙を送る【源氏物語168 第九帖 葵41】冷静で情味がある女王との友愛は永久なものと思われる。

源氏はまだつれづれさを紛らすことができなくて、

朝顔の女王へ、情味のある性質の人は

今日の自分を

哀れに思ってくれるであろうという頼みがあって手紙を書いた。

もう暗かったが使いを出したのである。

親しい交際はないが、

こんなふうに時たま手紙の来ることは

もう古くからのことで 馴れている女房は

すぐに女王へ見せた。

秋の夕べの空の色と同じ唐紙《とうし》に、

わきてこの 暮《くれ》こそ袖は 露けけれ

物思ふ秋は あまた経ぬれど

「神無月いつも時雨は降りしかど」というように。

と書いてあった。

 

ことに注意して書いたらしい源氏の字は美しかった。

これに対してもと女房たちが言い、

女王自身もそう思ったので返事は書いて出すことになった。

このごろのお寂しい御起居は想像いたしながら、

お尋ねすることもまた御遠慮されたのでございます。

秋霧に 立ちおくれぬと 聞きしより

時雨《しぐ》るる空も いかがとぞ思ふ  

とだけであった。

ほのかな書きようで、

心憎さの覚えられる手紙であった。

 

結婚したあとに以前恋人であった時よりも

相手がよく思われることは稀《まれ》なことであるが、

源氏の性癖からもまだ得られない恋人のすることは

何一つ心を惹かないものはないのである。

冷静は冷静でも

その場合場合に同情を惜しまない朝顔の女王とは

永久に友愛をかわしていく可能性があるとも源氏は思った。

 

🌼【源氏物語169 第九帖 葵42】左大臣家での語らい。気のおけぬ女房達と妻の思い出を共有する。

あまりに非凡な女は自身の持つ才識が

かえって禍《わざわ》いにもなるものであるから、

西の対の姫君をそうは教育したくないとも思っていた。

自分が帰らないことで

どんなに寂しがっていることであろうと、

紫の女王のあたりが恋しかったが、

それはちょうど母親を亡くした娘を

家に置いておく父親に似た感情で思うのであって、

恨まれはしないか、

疑ってはいないだろうかと不安なようなことはなかった。

 

すっかり夜になったので、

源氏は灯《ひ》を近くへ置かせて

よい女房たちだけを皆 居間へ呼んで話し合うのであった。

中納言の君というのは

ずっと前から情人関係になっている人であったが、

この忌中はかえって

そうした人として源氏が取り扱わないのを、

中納言の君は

夫人への源氏の志としてそれをうれしく思った。

ただ主従としてこの人とも

きわめて睦《むつま》じく語っているのである。

「このごろはだれとも

 毎日こうしていっしょに暮らしているのだから、

 もうすっかりこの生活に馴れてしまった私は、

 皆といっしょにいられなくなったら、

 寂しくないだろうか。

 奥さんの亡くなったことは別として、

 ちょっと考えてみても

 人生にはいろいろな悲しいことが多いね」

と源氏が言うと、

初めから泣いているものもあった女房たちは、

皆泣いてしまって、

「奥様のことは思い出しますだけで

 世界が暗くなるほど悲しゅうございますが、

 今度またあなた様がこちらから行っておしまいになって、

 すっかりよその方におなりあそばすことを思いますと」

言う言葉が終わりまで続かない。

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