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いにしえの都の高貴なネコ様のつぶやき🌸

我は、いにしえの都の高貴なネコ様🐱マロン🍀 下僕1号👩 下僕2号👨‍💼と ゆるりと暮らしておる。そんな我のつぶやきである🐱💖 

【🌹10分で聴く源氏物語 若紫2】なんと、若紫の帖に 明石入道と姫君の話が出てくる。竜王のお妃の姫‼︎🐉🌊 病気の快癒の祈祷で北山に行けば、若紫との出会い🪻源氏の運命の出会い2連発by🐱

🪻明石の入道の話を聞く源氏【源氏物語 59 第5帖 若紫3 】

「でもどうかね、どんなに美しい娘だといわれていても、

 やはり田舎者らしかろうよ。

 小さい時からそんな所に育つし、

 頑固な親に教育されているのだから」

こんなことも言う。

「しかし母親はりっぱなのだろう。 若い女房や童女など、

 京のよい家にいた人などを何かの縁故からたくさん呼んだりして、

 たいそうなことを娘のためにしているらしいから、

 それでただの田舎娘ができ上がったら満足していられないわけだから、

 私などは娘も相当な価値のある女だろうと思うね」

だれかが言う。

 

源氏は、

「なぜお后にしなければならないのだろうね。

 それでなければ自殺させるという凝り固まりでは、

 ほかから見てもよい気持ちはしないだろうと思う」

などと言いながらも、

好奇心が動かないようでもなさそうである。

平凡でないことに興味を持つ性質を知っている家司《けいし》たちは

源氏の心持ちをそう観察していた。

「もう暮れに近うなっておりますが、

 今日は御病気が起こらないで済むのでございましょう。

 もう京へお帰りになりましたら」

と従者は言ったが、

寺では聖人が、

「もう一晩静かに私に加持をおさせになってから

 お帰りになるのがよろしゅうございます」

と言った。

だれも皆この説に賛成した。

源氏も旅で寝ることははじめてなのでうれしくて、

「では帰りは明日に延ばそう」

こう言っていた。

 

山の春の日はことに長くてつれづれでもあったから、

夕方になって、

この山が淡霞《うすがすみ》に包まれてしまった時刻に、

午前にながめた小柴垣《こしばがき》の所へまで源氏は行って見た。

ほかの従者は寺へ帰して惟光《これみつ》だけを供につれて、

その山荘をのぞくと この垣根のすぐ前になっている西向きの座敷に

持仏《じぶつ》を置いてお勤めをする尼がいた。

簾《すだれ》を少し上げて、その時に仏前へ花が供えられた。

室の中央の柱に近くすわって、

脇息《きょうそく》の上に経巻を置いて、

病苦のあるふうでそれを読む尼はただの尼とは見えない。

四十ぐらいで、色は非常に白くて上品に痩せてはいるが

頬《ほお》のあたりはふっくりとして、目つきの美しいのとともに、

短く切り捨ててある髪の裾《すそ》のそろったのが、

かえって長い髪よりも艶《えん》なものであるという感じを与えた。

 

きれいな中年の女房が二人いて、

そのほかにこの座敷を

出たりはいったりして遊んでいる女の子供が幾人かあった。

その中に十歳《とお》ぐらいに見えて、

白の上に淡黄《うすき》の柔らかい着物を重ねて

向こうから走って来た子は、

さっきから何人も見た子供とはいっしょに言うことのできない

麗質を備えていた。

将来はどんな美しい人になるだろうと思われるところがあって、

肩の垂《た》れ髪の裾が扇をひろげたように

たくさんでゆらゆらとしていた。

顔は泣いたあとのようで、手でこすって赤くなっている。

尼さんの横へ来て立つと、

「どうしたの、童女たちのことで憤《おこ》っているの」

 こう言って見上げた顔と少し似たところがあるので、

この人の子なのであろうと源氏は思った。

 

🪻北山で美しい少女と出会う【源氏物語 60 第5帖 若紫4】

「雀《すずめ》の子を犬君《いぬき》が逃がしてしまいましたの、

 伏籠《ふせご》の中に置いて逃げないようにしてあったのに」

たいへん残念そうである。

そばにいた中年の女が、

「またいつもの粗相《そそう》やさんが

 そんなことをしてお嬢様にしかられるのですね、

 困った人ですね。 雀はどちらのほうへ参りました。

 だいぶ馴《な》れてきてかわゆうございましたのに、

 外へ出ては山の鳥に見つかってどんな目にあわされますか」

と言いながら立って行った。

髪のゆらゆらと動く後ろ姿も感じのよい女である。

少納言の乳母《めのと》と他の人が言っているから、

この美しい子供の世話役なのであろう。

 

「あなたはまあいつまでも子供らしくて困った方ね。

 私の命がもう今日明日かと思われるのに、

 それは何とも思わないで、

 雀のほうが惜しいのだね。

 雀を籠《かご》に入れておいたりすることは

 仏様のお喜びにならないことだと私はいつも言っているのに」

と尼君は言って、

また「ここへ」 と言うと美しい子は下へすわった。

 

顔つきが非常にかわいくて、眉《まゆ》のほのかに伸びたところ、

子供らしく自然に髪が横撫《よこな》でになっている額にも

髪の性質にも、すぐれた美がひそんでいると見えた。

大人になった時を想像して

すばらしい佳人の姿も源氏の君は目に描いてみた。

なぜこんなに自分の目がこの子に引き寄せられるのか、

それは恋しい藤壺の宮によく似ているからであると

気がついた刹那《せつな》にも、

その人への思慕の涙が熱く頬《ほお》を伝わった。

 

尼君は女の子の髪をなでながら、

「梳《す》かせるのもうるさがるけれどよい髪だね。

 あなたがこんなふうにあまり子供らしいことで私は心配している。

 あなたの年になればもうこんなふうでない人もあるのに、

 亡くなったお姫さんは十二でお父様に別れたのだけれど、

 もうその時には悲しみも何もよくわかる人になっていましたよ。

 私が死んでしまったあとであなたはどうなるのだろう」

あまりに泣くので

隙見《すきみ》をしている源氏までも悲しくなった。

子供心にもさすがにじっとしばらく尼君の顔をながめ入って、

それからうつむいた。

その時に額からこぼれかかった髪がつやつやと美しく見えた。

『生《お》ひ立たん ありかも知らぬ 若草を

 おくらす露ぞ 消えんそらなき』  

一人の中年の女房が感動したふうで泣きながら、

『初草の 生ひ行く末も 知らぬまに

 いかでか露の 消えんとすらん』

 と言った。

 

この時に僧都《そうず》が向こうの座敷のほうから来た。

「この座敷はあまり開けひろげ過ぎています。

 今日に限ってこんなに端のほうにおいでになったのですね。

 山の上の聖人の所へ源氏の中将が

 瘧病《わらわやみ》のまじないにおいでになったという話を

 私は今はじめて聞いたのです。

 ずいぶん微行でいらっしゃったので私は知らないで、

 同じ山にいながら今まで伺候もしませんでした」

僧都は言った。

 

「たいへん、

 こんな所をだれか御一行の人がのぞいたかもしれない」

尼君のこう言うのが聞こえて御簾《みす》はおろされた。

「世間で評判の源氏の君のお顔を、

 こんな機会に見せていただいたらどうですか、

 人間生活と絶縁している私らのような僧でも、

 あの方のお顔を拝見すると、

 世の中の歎《なげ》かわしいことなどは皆忘れることができて、

 長生きのできる気のするほどの美貌《びぼう》ですよ。

 私はこれからまず手紙で

 御挨拶《ごあいさつ》をすることにしましょう」

 

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